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ネタバレ

妻が「恋」する男性はオーブリーと言うのだが、オーブリーはある日施設を出て自宅療養に切り替えることになった。その日以来、妻はふさぎ込み、臥せるようになった。妻から夫と認識されていない主人公は、そこで苦渋の決断をする。オーブリーを施設に戻して妻を幸せにしようとするのだ。しかし、オーブリーの奥さんは施設に戻すことを拒否。「施設に戻すにしてもお金がかかってこの家売らないと無理」という。

しかし、夫の介護に疲れていたオーブリーの奥さんは主人公に惹かれ、そしてついに主人公に「決断」を促す。その「決断」が具体的に何なのかは映画では描かれないが、少なくとも主人公とオーブリーの奥さんは一線を超え(つまり主人公は妻のために身体を「売った」のだ)、オーブリーの奥さんは自宅を売ってオーブリーを施設に戻すことにした。これからがどんでん返し。

オーブリーが戻ってさぞかし妻が喜ぶだろうと思った主人公だが、いざ妻にそれを伝えると妻は一瞬ためらいの表情を浮かべたあと「オーブリーなんて知らない」と言う。そして「あなた、私を捨ててくれて良かったのに…」といって二人は抱擁する。え、どゆこと?!と思ったら、エンディングロール。

このどんでん返しはどう解釈したらいいのだろう?

一つの可能性としては、妻の記憶が突然戻って主人公が夫だと思い出したということが考えられる。しかし、妻の言動(特に「オーブリーって覚えているだろ?」と言われたときのためらいの反応)を見ると、そうではなく、実は妻は芝居をうっていた可能性の方が高いと思う。つまり、アルツハイマーに犯された自分が、自ら身を引くために、夫を忘れてオーブリーに純愛をしていたという振りをしていたということだ。最後にその芝居をやめて二人は抱き合うのだから、二人としてはこれでハッピーエンドだ。

でもじゃあ、施設に戻ることになったオーブリーはどうなる?! 家まで売ったオーブリーの奥さんはどうなるの?!オーブリーの奥さんは家を売ってもしかしたら主人公と暮らすつもりだったかも?そう考えると非常にブルーな気持ちになるエンディングである。監督は意図的に経緯をぼかして、一つの解釈に絞ることを許さない。しかしどんな解釈であってもオーブリーとオーブリーの妻にとっては非常にビターなエンディングだ。そういう意味で「ヒドい」エンディングと言えるかもしれない。

ただし、現実とはえてしてこういう「ヒドい」ことが起こるものだ。人生そんな簡単にハッピーエンドにはならないよ、という、監督のブラックなメッセージを感じるのであった。