Pet Shop Boys "Always on My Mind" (1988)

written by J. Christopher, M. James, W. Thompson
produced by Julian Mendelsohn and Pet Shop Boys

「オレ的心の名曲」シリーズの第二弾ですが、第一弾がストック・エイトキン・ウォーターマンだったんで、それに関連して、ペットショップボーイズの初期のヒット曲を。って別にストック・エイトキン・ウォーターマンが関わっているわけではありませんが、ユーロ・ビート系ポップスということで。(てゆうか、オレのふだんの趣味を知っているヒトは「なんなんだこの選曲は!」と思うかも〜。)

基本的にオレはあまり哀愁のメロディが得意でないので(だから実はキング・クリムゾンとかむしろ苦手)、ペットショップボーイズもあまり得意じゃない。ゲイの音楽には評価が甘いオレなので、ペットショップボーイズも心情的に応援しているんだけど、「It's a Sin」とか、ああいう濃い哀愁を押しだされるとかなりキツい。でも、この曲は別! ほんとうに好き!!

エルビス・プレスリーの後期のバラードのカバーですが、完全にペットショップボーイズの色に染めあげています。イントロのストック・エイトキン・ウォーターマン的な機械的人工的なパーカッションから、死ぬほどベタで華美なシンセになだれこむところでもうメロメロですね。ベースラインはエレクトロな感じですが、上品な響き。今ちょっとリック・アストリーとかカイリー・ミノーグと並べてペットショップボーイズを聴いてるんですが、同系統の音でも、ペットショップボーイズの音はえらい気品がありますねえ。非常に流麗で、押しつけがましくなく、柔らかな感触。

で、この曲の素晴しいのは、なんといっても、サビの「You were always on my mind」の二度目の「mind」ところでちょっとコードがひねられているところですね。このひねり方が非常にペットショップボーイズらしいシニシズムと哀愁を感じさせて、このひねりだけで、プレスリーのこの曲が100%ペットショップボーイズの曲に。メロディがマイナー調でないところも個人的にはポイント高し。マイナー調でないメジャー調の曲でどこか能天気なところさえある曲なのに同時にどこかドン・ストップ・ザ・ロンリネスな雰囲気もあるという、たいへん味わい深い名カバー。「君に対する愛の表現は不十分だったかもしれない、それは謝る、でも君はいつもぼくの心にあったんだ、いつもぼくの心にあったんだよ」という偽善的かつロマンチックな歌詞もペットショップボーイズにぴったりすぎる。

最高の歌謡曲。