砂の器 (1974) ★★★

director: 野村芳太郎
screenwriter: 橋本忍・佐藤正之・三嶋与四治

原作は読んだことあると思う。映画も観たような気がするんだけど、今回改めて観て、全然記憶にないので観たことなかったのかも。

社会派サスペンスの極北とでもいうべきこの作品ですが、主演の丹波哲郎につきますね。外国映画もよくしらないが邦画はもっとしらないオレのことですから、丹波哲郎のまともな映画を観るのはこれが初めてですが、この圧倒的な存在感は素晴しいの一言。適度に重厚で適度にひょうひょうとしてユーモラス。アンソニー・パーキンズを重みを加えた感じ。最高の演技です。

丹波の持ち味にひっぱられるように、ストーリー展開はみえみえながらも、サスペンスと軽みの絶妙のバランスで展開するこの映画ですが、クライマックスの「回想シーン」になってからは正直キツかった。長い。音楽がドラマチックすぎ。演出も今観るとあまりにお涙頂戴っぽく、観ていてどんどん醒めてしまう。丹波の出る幕がないのがまた痛い。ただいたずらに大袈裟なだけの展開であります。

うーん、題材が題材だけにしょうがないのかなあ。でも松本清帳の原作読んだときはこんな白けた気分にはならなかったからやっぱり演出の問題なんじゃないかな。よくわかんないけど。

でも画は良いです。日本の田舎の美しさとその裏の不気味さがよく伝わってくる。それから、さりげなく豪華な役者陣は皆非常にすばらしかったです、森田健作を除いて。ほんと森田の大根さ加減にはあきれました。大根芝居だと、アフレコであることが目立ち、あまつさえ他の役者の分までアフレコがすごく気になるようになるので、ほんと勘弁してほしいです。