うーん、微妙。原作知っていたのが良かったのか悪かったのか。原作知っているので、説明不足気味のところも「これはこういう意図なんだよね」と補完して観られた一方、原作知っているだけに原作そのままの台詞まわしに白々しさを感じたのも事実。もともと原作もストーリーがあまり強くなく、筆者の松本大洋の世界観で一気に読ませるものだったので、映画化はけっこう辛かったかもしれない。
ただ、キャストは全般に驚くほど原作どおりのイメエジで、そこは素晴しかったです。しかーし！ 納得できない重要キャスティングが二つ。まずコーチ役の竹中直人。こういうスポーツコメディには必ず呼ばれる常連ですが、「無闇に横文字を使う、スノビッシュなところが鼻につく感じのコーチ」という役柄に全然合ってない。イメエジ的にはバカボンのイヤミかトニー谷ってな路線であって（語弊ありすぎ？）、竹中直人じゃないでしょう。もう一つ、非常に不満だったのがオババ。原作では野村サッチーをバンカラにした感じの重厚なキャラだったのに、なんで夏木マリなんだよ！ 無理してガニマタで歩いて煙草ふかして渋がっている雰囲気は、オババではなく、新春隠し芸大会でドラマを演じる久本雅美という雰囲気だった。いや、原作通りじゃなきゃいけないということはないですよ。竹中直人なら竹中直人に合ったキャラ、夏木マリなら夏木マリに合ったキャラで再解釈してくれればそれはそれでいいんだけど、脚本が原作通りなんで無理がありまくり。
役者は全体にけっこう頑張っていたと思うけど、演出がヘタなせいか、独特すぎるセリフがことごとく空回りしておりました。
