アダプテーション (2002) ★★★★

Adaptation
director: Spike Jonze
screenwriter: Charlie Kaufman, Donald Kaufman

アダプテーション DTSエディション [DVD] うーん、微妙。てゆうか、しょっぱなの出産シーンにびっくりした。いやあ、出産シーンはじめて観たよ。すごいね。てゆうかストーリーに関係ないやん!! ‥とツッコミを入れそうになってからはたと気付きました。あそうか、これは「再生」の話なんだから、出産シーンは関係ないことないばかりか、むしろそのシンボルなんだな、と。‥ほんまかいな。

とにかく脚本のすごさには舌をまくばかり。前作「マルコビッチの穴」でも、「あの映画の成功は監督じゃなくて脚本のおかげ」などと言われたものですが、今回はそれどころじゃない。もう脚本が完全に独り歩きしている。なんてったって当の脚本家とそのオルターエゴ(ともにニコラス・ケイジ)が主人公なんだから。いや、主人公というか、この脚本は脚本家の頭のなかそのものですな。「他人の頭の中を覗く」ということは、「マルコビッチの穴」では、一つの道具立てだったけど、こちらは道具立てではなく、映画そのものが脚本家チャーリー・カウフマンの思考そのもの。大体において人の思考なんて、覗いてみたら気持ちが悪くなるもんだと思うけど、実際この映画は妙な心理的気持ち悪さがある。コメントに困る気味の悪さ。

それでいて最後は無理矢理昼メロ・アクションスリラーに急変するあたり、悪い冗談もほどほどにしておけよ、と。こう思うわけですね。完全に分かっててわざとやっているからなあ。正直、個人的にはずっと心理的な映画のまま終わってほしかったんだけど、それじゃメジャー配給映画にならんから、ああいう展開にしたんだろう。そのクレバーさがなんだか腹立つ。

ただ、非常にいろんな含蓄のある映画でいろいろ考えさせられるし、リアル脚本家としてのチャーリー・カウフマンの非凡さは疑うべくもない。個人的にはそれほど好きにはなれなかったけど、こういう映画が評価されなかったら文化は終わりだと思うので、四つ★。