アニー・ホール (1977) ★★★★★

Annie Hall
director: Woody Allen
screenwriter: Woody Allen, Marshall Brickman

アニー・ホール [DVD] オレはDVDレンタルにオンラインレンタルのぽすれんを利用しているんですが、そこにはユーザのDVDに対する星取評価が載っているわけです。まあ、多くのウェブサイトのユーザ星取評と同じく、真剣にどうのこうの言う対象ではないわけですが、でもまあそれでもいわゆる名画の類いは大体星取の点も総じて高いわけです。ところが、ぽすれんにおいては、現段階ではウディ・アレン映画の評価が超低い。アカデミー総舐めにしたこの「アニー・ホール」も、ぽすれんでは現段階で7人の投稿があって、1人が四ツ★を付けているのが最高で、あとは全員三ツ★以下、それどころか、二ツ★も3人、一ツ★を付けている人もいる。「な、なんでそんな評価低いわけ?!」とすんごくビックリしたんですが、しばらく考えて、あそっか、言葉の壁か、という結論に達しました。ということで、是非ですね、ウディ・アレン映画を観るときは、英語字幕で、辞書片手に頑張って観ることをお勧めします。こんなエラそうに言うオレでも、この映画は辞書必要だったし。って、どんな映画でも辞書引くけど。

で、某とある目的でこの「アニー・ホール」を今回レンタルしたのですが、初見ではないんです。ですから、ウディ・アレンらしい、様々なギミックの連発はこの際いいんです、ネタはバレてるから。ギミックを差しおいても、とにかく言葉の洪水ですから、それを追っていくだけでもおもしろく、さまざまな含意もあり、人間心理や文化的葛藤も浮かびあがっていくわけです。

エゴイスティックで神経質で悲観主義者でそれでいて性欲の強い、頭も口も回転の速いコメディアンのアルヴィー・シンガー(アレン)は、ニューヨークという街を体現したような男。過去の2回の結婚相手もニューヨーク的な、退廃的なまでに知的で洗練されたインテリ女性だった。しかしある時、アレンの前に、ウィスコンシンの田舎出身の天真爛漫な女性(ダイアン・キートン)が現われる。どういうわけか(←映画では全然説明がない)、チビでてっぺん禿のアレンに最初からトキメいているキートンに半ば押されるような形でつきあいはじめる二人だったが‥。

そうそう、どっかの投稿評で、このキートン役のアニー・ホールの話すことが知的で‥というようなことを書いてあるのがあったけど、それは全然違う! このアニー・ホールの話すことはむしろ出鱈目で、こういうことを言うと怒られると思うけど、典型的な女性的おしゃべり、つまり思いついたことを思いついた順番でそのまましゃべってしまうタイプなのであります。そして自分の話に落ちを付けることができず、最後は笑ってごまかす、そういう女性なんですね。この映画は、そんな、あまり頭のよくない天然な女と、理屈の迷路の中で神経質に歩き回っている男の恋物語なわけです。

なんか、ウディ・アレンの饒舌に影響されてか、内容ないわりに長くなってきたな。このへんで止めておこう。この恋がどこに着地するのかは映画を観てください。オレは今回この映画を2度観ましたが、観るほどに、この単純なストーリーの中にいろいろなテーマが見えてくるようになります。そして観るたびにやはり最後はホロリとしてしまいます。とにかく、あらゆる意味ですごい映画です。

うーん、買った方がいいのかな、このDVD‥。てゆうか、それ以前に銀幕で観たいな。