アンダーワールド (2003) ★★

Underworld
director: Len Wiseman
screenwriter: Len Wiseman, Danny McBride

アンダーワールド スペシャル・エディション [DVD] MTVビデオクリップ出身の監督によるアクション。SFかと思ったら、吸血鬼一族vs.狼人間一族の抗争を描いたものですた。いや、まあ広い意味でのSFではあるんだけど。

画的には、MTV出身らしい「スタイリッシュだが空虚」なもので、ありがちな感じ。まったくスリルがない。「マトリックス」や「ブレイド」の系列のゴシックSFアクションなんだけど、足元にも及びませんね。なんでスリルがないのかというと、演出が薄っぺらいこともあるし、あと、ストーリーとアクションの関係が全然有機的じゃないんですよ。大体、映画がはじまってすぐに派手なドンパチが始まるんだけど、ろくにストーリーもないうちからドンパチやられても、観てる方はしらけるばかりなんだよね。人物背景がわからないうちから戦いを観せられたって感情移入できないっつうの。

というわけで、そろそろ映画も後半かな‥と思って時計をみると、「げっ、まだ30分しか経ってないじゃん!」なんてことがあったりするほど時間が経つのが遅く感じられる退屈な作品なのですが、意外なことに、1時間20分経ったころに、ストーリーにちょっとしたヒネリが加えられて、すこしだけ面白くなります。相変わらずその後のアクションは表層的にスタイリッシュなだけで退屈な、時に滑稽なモノ(もちろん悪い意味で)なんですが、この、ストーリーのちょっと意外な展開は目新しくはなくともけっこう印象的で、ああ、これをちゃんと生かしていたら良かったのになあと残念に思いました。嗚呼、監督がまともなストーリーテラーだったら‥。

ということで、限りなく一つ★に近い作品ですが、最終的にプロットの印象が良くなったのと、全編レザーのジャンプスーツで頑張ってくれた主演のケイト・ベッキンセールの姿形がカッコよかったのに免じて二つ★。でもねえ、この主演のベッキンセールにしても、カッコ良くて「強い」のは良いんだけど、全然「強そう」じゃないんだよね。ただ銃をやみくもにぶっぱなしているだけで、「まあ、主役だから適当に銃をぶっぱなしても当たるよね」と醒めた目で観てしまう。やっぱ主役は「こいつが登場したからにはもう安心だ!」という必然性を感じさせる演出じゃないとだめでしょう。この監督はほんとに分かっとらん。ほんまに。