トゥルー・ロマンス (1993) ★★★★

トゥルー・ロマンス [DVD]

True Romance
director: Tony Scott
screenwriter: Quentin Tarantino


あらすじ:
コミック専門店で働く映画オタクでエルビス崇拝者、クラレンス(クリスチャン・スレーター)は、「ソニー千葉・殺人拳シリーズ三本立て」で女をナンパしようとするが当然失敗。独り寂しく「ソニー千葉三本立て」を観る。そこへ現われた謎の…というかあからさまに売春婦だが素性が謎の女、アラバマパトリシア・アークェット)。売春婦だが「本当のロマンス」に憧れていたアラバマは、天然オタクのクラレンスに激しく恋をしてしまい、非モテ男のクラレンスは夢のような気分。夢のような気分の中、話はジェットコースターのような展開に突入する…。


リビュー:
タランティーノがビデオ店員時代に書いた処女作(映画の公開は「レザボア・ドッグズ」と「パルプ・フィクション」の間)。監督はハリウッド馬鹿映画界の良心、トニー・スコット(「トップ・ガン」「デイズ・オブ・サンダー」「エネミー・オブ・アメリカ」「スパイ・ゲーム」。リドリー・スコットの弟)。

上記のあらすじで明らかですが、主人公のキャラ設定がこれ以上ないというほどタランティーノ印でとりあえずそこで爆笑。てゆうか、当時しがないビデオ店員だったタランティーノが自分を主人公にして、大好きな映画ビジネスをからめて考えた大妄想を映画にしたらこうなったという感じか。男と女の、陽気さとバイオレンスに満ちたロード・ムービーということで、同じくタランティーノ脚本の「ナチュラル・ボーン・キラーズ」に近いかも。…観てないけど。あと、ちょい役でブラッド・ピットが出ているということで、なんとなく「テルマ&ルイーズ」(リドリー・スコット監督)を思い出したりして。どちらも破滅に向かうジェットコースターのような映画だし。

まあ、傑作「テルマ&ルイーズ」のクライマックスに比べると、「トゥルー・ロマンス」のクライマックスは滅茶苦茶なだけで、ナンセンスの極みであり、B級、いやヘタしたらC級なんだけど。

役者が無駄に豪華で、キャスティングもタランティーノがやってたんちゃうの?と思ってしまったぐらい。ゲイリー・オールドマン(最高!)、デニス・ホッパー(善人の役なのでちょっと物足りない)、クリストファー・ウォーケン(いつものウォーケン印)、サミュエルLジャクソン(ちょい役だけど最高!)などなど。最近ケーブルTVドラマ「ソプラノ」でブレイクしたジェイムズ・ガンドルフィニもシシリアン・マフィアの「刺客」の役で好演してます。

はっきりいって大した映画じゃないですが、大味なハンス・ツィマーの音楽に乗って、タランティーノ印の過剰さとトニー・スコットの緩さのバランスを楽しみつつ、B級の臭いがするA級豪華キャストの演技と、無駄にバイオレントなアクションをゆっくり楽しめばそれでいいというポップコーン作品です。いじょ。