松村達雄死去

男はつらいよ」シリーズの二代目おいちゃん、村松達雄が亡くなりました。18日、心不全のため東京都新宿区の病院で死去、90歳。合掌。松村さんに関して、下のエントリに紅しょうがさんからコメントをいただきました。ありがとうございます。

http://d.hatena.ne.jp/ultravisitor/20050614

個人的には「おいちゃん」は初代の森川信派なのですが、松村達雄のおいちゃんも期間は短かかったものの(72年から74年、第9作から第13作)、なかなかに個性的なものでした。最初の二作ほどは個人的には森川信ファンなので、その不在にすごく違和感があり、また松村自身もちょっとやりにくそうな雰囲気が(森川の決まり文句「馬っ鹿だねぇ…ほんっと馬鹿だよあいつは」や「ああ、嫌だ嫌だ」を言う時は特に)ありましたが、その後は森川版おいちゃんとは違うキャラを確立し、良い味を出してました。紅しょうがさんは三代目おいちゃんの下条正巳に批判的で、個人的には下条版おいちゃんにも比較的好感はもっているのですが、確かに初代・二代目に比べるとあきらかに存在感がなくなったのは否めません。てゆうか、おそらく監督・脚本家が、意図的においちゃんを背景へと下げたんでしょうけどね。初代・二代目が個性的だったのだけど、個性的であればあるほど、役が交代するときに難しいのでおいちゃんを主要キャラから雑魚キャラに格下げしてしまったのかもしれません。

松村達雄のおいちゃんはわずか5作でしたが、その後も5作、また、おいちゃん役をひきうける前にも2作出ています。しかもいずれも違う役で。つまり、おいちゃんじゃない役で出ている本数の方が多い! おそらく松村も「男はつらいよ」シリーズを楽しんでいて、監督の山田洋次も松村が気にいっていたんじゃないでしょうかね。じゃなぜその松村がわずか5作でおいちゃん役を降りたのか。よく知りませんが、たぶん松村のおいちゃんは、初代の森川信が急逝してしまったことで急きょまわってきた役だったんじゃないでしょうかね。たぶん急ピンチヒッターとして松村はおいちゃん役に立ったが、もともと長くはやるつもりはなかったんじゃないかと。「いや、俺ぁ、おいちゃんって柄でもないしさ」とか、例の調子で言って自ら降りたんじゃないかと勝手に想像します。ずっとやってくれたらよかったのにねえ。

あらためて合掌。