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iPodへの私的録音補償金課金の論拠はジャイアン並に滅茶滅茶

現在、文部科学省文化審議会著作権分科会による法制問題小委員会審議が続き、iPod私的録音録画補償金を課すかどうかが議論されています。9月30日に第8回の審議が行なわれたという報道がありました。で、そこでトンデモ発言があったそうなのですが…

「PCからiPodへのコピーをできなくすれば問題は解決する--法制小委第8回審議」
http://japan.cnet.com/news/tech/story/0,2000047674,20088050,00.htm

また、音楽のネット配信について、iPodなどを補償金の対象とする場合、「補償金の二重取りになるのではないか」という意見があるが、その一方で、JASRAC関係者は「配信事業者がJASRACに支払っているのはあくまでPCへダウンロードするまでの利用料」との主張を貫いており、同関係者からは「極端な話だが、PCを通じた音楽のコピーをできないようにすれば(iPod課金に関する問題は)解決する」といった発言もなされた。

まあ、審議会のうちのごく一部の発言だと信じたいですが、あまりにも頭の悪い発言、しかもJASRAC関係者によるものということで、各所で非常に大きな反響〜その大半は「馬鹿じゃねーの?」という内容〜を呼んでいます。「配信事業者がJASRACに支払っているのはあくまでPCへダウンロードするまでの利用料」というのもどうなんでしょうねえ? なんか、「ダウンロードした楽曲がヘッドホンを伝わって耳に入るのは別料金」「楽曲がスピーカで鳴らされて空気を振動させるのも別料金」とでも言いそうな勢いですね。

ちなみに、これに関しては文科省が10月7日までにパブリックコメントを募集しています。オレも送りました。皆さんもぜひ批判を送りましょう。課金の額はそんなに問題じゃないんです。理不尽な課金をうやむやのうちに正当化するようなシステムを許してはならないということです。

文化審議会著作権分科会法制問題小委員会 審議の経過」に対する意見募集について
http://www.mext.go.jp/b_menu/public/2005/05090803.htm

下の方の「提出先」のところにメールアドレスがありますので、そこをクリックして、(1) 名前、職業、(2) 住所、電話番号、(3) コメントを書いて送ります。この(3) コメントには、意見募集の対象となる「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会 審議の経過」の、どの章のどの節に対するコメントかを明記します。たとえば、iPod課金に直接関連するのは、

2. 私的録音録画補償金の見直しについて
(2) ハードディスク内蔵型録音機器等の追加指定について

ですので、これを明記してコメントを書きます。

オレが送ったのは、以下のようなポイントです。(もちろん実際の文面は違います)

音源を購入した聴衆は、「家庭内等における私的な複製については,例外的に,権利者の許諾なく行うことができる」(第30条第1項)とされています。現行制度でも。しかし、「デジタル方式の録音・録画機器の普及に伴い,著作権者等の経済的利益が損なわれるようになった状況に対応するため」、デジタル機器による複製の場合は、「家庭内等における私的な複製」であっても私的録音補償金を払わなければならないと定められました。

問題は、iPodが普及するようになって、「著作権者等の経済的利益が損なわれるようになった」かどうかです。どう思います? iPodが普及して著作権者はどういう経済的な打撃を受けているのでしょうか? ここがまったくわからない。たとえば、MD、CD-R、CD-RWだと、まあ、大量に複製して配布するということも可能ですから、著作権者等が経済的利益を損なわれるということはありえるかもしれません。しかし、iPodは個人の所有物ですよ? iPodに楽曲をつめこんでそのiPodを配布したりする人がいるんでしょうか? iPodを持っている人は、自分でCDなり音楽配信で音楽を購入して、自分で聴くためにiPodを使うわけでしょ? 自分が買った音源を通勤通学で聴いて、どのような「経済的損失」が生じるんですか? 書いててまた腹が立ってきました。もう滅茶苦茶ですよ。

それから、上のcnetの記事には、

日本音楽著作権協会日本芸能実演家団体協議会日本レコード協会3団体の連名で「ハードディスク内蔵型録音機器等による指摘録音から著作権者・著作隣接権者が受ける経済的な影響(速報版)」という資料が提出された。

とありますが、見てみると、その試算というのは、「課金したら徴収できるはずのカネの算段」でしかないんです。それが「経済的な損失」? 馬鹿いっちゃいけません。補償金というのは、経済的損失を示す独立した理由があって、それを補償するためのお金でしょ? 「補償金を課金しないと補償金を課金した場合にくらべてこれだけのマイナスである。そのマイナスを埋めるために補償金を課金しなければならない」というのでは、そりゃジャイアン並に滅茶滅茶な論理ですよ。トートロジーですよ。要するに舐められてるんですよ、我々聴衆は。

しかし、こういう滅茶苦茶な論理をふりかざして金を徴収しようとしたり、「PCからiPodへのコピーをできなくすれば問題は解決する」などと言いはなつ業界を、我々はこれ以上放置してはいけないと思う。音楽文化とは音楽家と聴衆が一緒に育てていくものです。しかし聴衆の役割を過小評価し、搾取対象としか考えていない業界の姿勢をもはや許すことはできない。そういう姿勢は音楽文化に対する冒涜だと言えるでしょう。

なお、文科省パブリックコメント募集は今週の金曜日までです。この問題を真剣に考える人は是非。