iPod Video & iTMSビデオ配信

あ〜PowerBookでないでよかった⊂二二二( ^ω^)二⊃ ブーン

じゃなくて。

大方の予想通り、Video対応iPodが出ましたね。ThinkSecretも直前になって「やっぱ、動画iPod出る!」と前言翻していたことだし、意外性はなかった。「予想通り」という意味で、意外性で波紋を呼んだ「iPod nano」の発表に比べるとインパクトがないと文句を言うファンも続出。いやあ、消費者のどん欲さというのは恐しいものですね。

でまあ、インパクトはそんなにないし、オレも「ほぼリアルタイム」発表リポートをチェックしながらブーン…じゃなくてフーンぐらいにしか思わなかったわけですが。

ただ、iTunesが新しく、バージョン6になったんですよね。これをインストールしてiTMSにアクセスすると、以前と比べて格段ににぎやかになったiTMSトップページに出会えます。ビデオメニューもあるし、「Just for you」という、Amazonのおすすめみたいなコーナーも出来ています(サインイン必要)。

他、目をひくのはAmazonのようにユーザリビュー機能がついたことですね。さっきから「Amazonみたいな」を連発しているとおり、決して目新しい機能ではないんですが、これまでの音楽配信が「レコード会社の広告塔」「CDプロモーションの一環」程度の地位にしか考えられてなかったことを考えると、iTMSのユーザリビュー機能は、「配信をCDのプロモーションに留めておくつもりは毛頭ない」というAppleの決意のあらわれのようにも感じられるし、また、「レコード会社主導型でなくあくまでオーディエンス中心主義」を感じさせる点で好感できます。今後の展開に注目です。

しかし、以前のエントリhttp://d.hatena.ne.jp/ultravisitor/20051006#p1

ジョズウィアックは「インフラが整ってなければ動画iPodを出す意味はない」と確か言っていて、裏を読めば「インフラが整い次第いつでも出す」と言っているようにも思えます。

と書きましたが、我ながら鋭い眼力でしたね(←結果論)。ちなみにその記事をあらためて探して読んでみたんですが、以下のようにあります。

ITMedia 9/8付け記事「iPod nano」は日本人好み??米Apple幹部に聞く (2/2)
http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0509/08/news101_2.html

ジョズウィアック氏:重要なのは音楽を“聞く”ということだけではなくて、音楽を“楽しむ”“体験”するということです。ですから、iPodのインタフェースやサイズなどについても、音楽を体験するのに適しない方向へ変化していくことはありません。

 動画を楽しむにはiPodのディスプレイは小さすぎます。かといってディスプレイを大きくすれば、本体も大きくなってしまい、“音楽をいろいろなところで体験する”という趣旨とは相反することになってしまいます。あくまでも、ユーザーと市場が求める音楽体験を提供するということに主眼点をおいています。

 それに、ビデオコンテンツの提供には2つの大きなハードルがあります。ひとつは本体サイズの問題。もうひとつはインフラの問題です。動画配信用のインフラはまだ完全に整備されているとはいえません。この2つは決して無視できません。

その一ヶ月後に動画対応iPodを出すんですから、このインタビューのジョズウィアックがいかにトボけていたかがわかります。「嘘つき!」と怒る人がいてもおかしくありません。でもまあ、Appleを長年観察している人は幹部のコメントが本心とは限らないことをよく知っているので、これだけ幹部が否定しても(ジョブズも以前動画対応を否定してました)、業界筋は誰も信用せず「そろそろ出るぞ出るぞ」と言いつづけてきたという(笑い。

しかし、最後の「もうひとつはインフラの問題です。動画配信用のインフラはまだ完全に整備されているとはいえません。[これ]は決して無視できません」という言葉。ここはAppleが絶対譲れなかった点で、本心からの言葉だったと思いますね。今まで動画対応携帯プレイヤーがことごとく(動画プレイヤーとして)成功してない理由が分かりすぎるほど分かっていたんでしょう。

で、この「完全に整備されているとはいえません」という言葉がクセモノだったわけで、ようするに9月上旬の時点では、「完全に」ではないが、すでにかなり整備されていたんですね。ここがイケズなところです。イケズかつしたたかだったという。「発表」するだけでなく、発表と同時に発表を聞いたユーザがすぐに体験できる形をととのえているところが今のAppleの戦略の地盤の確かさを感じさせますね。

まだ、長編映画の配信などはしばらくはなさそうですが、おそらく長期的には視野に入れていると思います。そのとき、ジョブズピクサーCEOとしての顔が強力に生きてくるのだと思います。

だれも成功していない動画ダウンロードの分野なので、これからどういう展開になるのかまったくわかりませんが、とりあえずなんだかおもしろいことになりそうだという予感はありますね。

いじょ。