エレファント (2003) ★★★★★

ガス・ヴァン・サント監督。コロンバイン高校の事件に着想を得た映画。

美しい映画。登場人物名と俳優の名前が同一だったり、台詞の多くが即興だったり、ネオ・リアリズム的な手法で淡々と高校生活を描いているけれども、むしろ現実から離れたような、どこか浮遊する感覚が映画を支配しており、ファンタジー的だとさえいえる。この「現実感のなさ」こそ思春期のリアリズムなのかもしれない。銃による無差別殺戮という結末が待っているが、そこには必然性はなく、思春期独特の浮遊感の中では何が起こってもおかしくないのだ。そこに思春期の潜在的恐怖と美があるように思える。