法大、今春新設学部「うれしい誤算」 08年新設は延期

法大、今春新設学部「うれしい誤算」 08年新設は延期 (asahi.com)

 法政大が、08年4月開設予定と公表してきたスポーツ健康学部(仮称)について、開設を1年延期したことがわかった。今春新設した別の学部の入学者が定員を大幅に上回る「うれしい誤算」で国の基準に触れ、延期せざるをえなくなった。開設予定まで1年を切っての延期は「めったにない」(文部科学省)という。広告などで宣伝してきた法大は、陳謝しつつ注意を呼びかけている。
 スポーツ健康学部は、スポーツ振興と個人の健康作りに貢献できる人材の育成を掲げ、08年4月に定員150人でスタートする予定だった。(中略)
 文科省大学設置室によると、認可には既設の各学部について、直近4年間の平均で入学者が定員の1.3倍未満であることが必要。大学がむやみに入学者を増やし、教育がおろそかになるのを防ぐための基準だ。
 ところが、デザイン工学部には大学側の予想を超えて合格手続きをする人が多く、定員280人の1.37倍に当たる383人が入学。新設学部のため直近4年間の平均ではなく今春の実績のみが基準となり、スポーツ健康学部の開設認可が絶望的になったという。

えーと、「嬉しい誤算」って…「この全入時代に合格手続き者が予想を超えたなんて、このっ、この〜♪」というニュアンスなんでしょうかね。でもまあ、大学関係者がこのニュース読んだら「嬉しいわけないだろ!」と突っ込みたくなるんじゃないかと思います。

「全入時代が来る! 来年か!再来年か!」とマスコミが煽ってますが、この「全入」の定義はあくまで受験生の数と大学全体の定員を単純に比較した「数字の上での話」にすぎないのであって、「全入時代」になっても難関は難関のままだし、「全入時代」にまだ入ってない今だって定員割れしている大学はたくさんあります。

で、中堅と言われている大学だったら、この「全入寸前」時代でもたいてい「数字上の競争率(=受験者数÷定員)」は10倍超えているし、「実質競争率(=受験者数÷合格者数)」も3倍前後というのがごく普通の相場です。そんななか、文部省が(特に私立大学に対して)お怒りになる「定員の1.3倍」の入学者数を超えないように注意しつつ、しかしできるだけ定員オーバーして入学者をゲットする(だってその方が学費収入が増えるから)というのが、大学(特に私大)の経営陣の一般的な目標であるわけです。しかし、これもなかなか難しくて、株の相場師か競馬の予想師のように当てにならない予想を立てつつ「1.3に近く、しかし1.3を超えないように」とチキンレースをやっているのが現状です。もちろん、教員としては、学生が少ない方が教育の質が上がるので、定員の1.1倍ぐらいでいいじゃないかと思う(ちなみに定員を万が一割るとそれはもう大変深刻なことですから、1倍ちょうどをめざすことはありえない)のですが、経営陣はこのチキンレースをやるようにプレッシャーかけてきます。チキンレースですから、1.3近い数値はいいんですが、1.3超えたらそれは負けです。イエローカード。「嬉しい誤算」なんて普通思わないんじゃないですか?

ましてや新設学部が控えているときなんて、1.3超えるなんてとんでもない! オレのガッコでも学部の新設を控えていたときは、「ぜっっっっっったい1.3超えるなよ!」というキツいお達しが上層部からありました。「いつもより全然少なめでいいから」という感じで。もちろん上記のニュースの大学でもそういうお達しがあったでしょう。それなのにこんな事態になって、新設が延期なんてことになってしまったんですから、「嬉しい誤算」どころか、もう大学の上層部はカンカンだと思いますよ。開設の準備にかけたコストがパーになり、入るはずだった学費収入がなくなり、新しく採用する教授陣が1年間宙ぶらりんになる状況に対してどう手当するか考えなければならなくなり…おーこわ。

な〜んて、人様の大学のことですから、実情は分かりませんけどね。