入試問題の作成や点検、私大の12%「外注」

以下のニュースについて。

私立大の12%に当たる71校が入試問題の作成や点検を予備校などに外注し、全問題を任せる「丸投げ」も18校――今春の07年度入試でのこんな実態が5日、文部科学省による調査で明らかになった。国公立大では外注はなかった。文科省は「入試は各大学が自ら行うことが基本」と強調、慎重に対応するよう求める通知を出した。

http://www.asahi.com/life/update/0706/TKY200707060201.html

以前から大学個別入試の廃止を主張している当「ultravisitor」ですので、外注でもいいじゃんと思います。もちろん、文科省はそういう理念的な問題より、「将来的に問題漏洩などのトラブルが起こったら困るから」ということで通知を出したのだと思いますが、正直、実質倍率1倍とか0.9倍の大学なら、手間とお金をかけて自前で問題をつくるメリットはほとんどないんじゃないかと思います。

以前から主張しているように、毎年毎年700を超える大学が個別に2〜10の問題を作成しては使い捨てられていくという現在の状況は異常です。研究や教育の向上が叫ばれていますが、この入試業務へのリソース配分の大きさははっきりいって日本という国の国際競争力を落としていると思いますね。全入時代を迎えて明らかになっていることは、そんなに入試問題の数はいらないだろうということです。全国の大学に対して、上・中・下と、毎年3種類ぐらいの共通入試問題があれば十分じゃないですか。アメリカはSATという1種類の試験しかありませんし。日本の大学の先生が1年かけて入試業務(作問・校正・試験監督・採点)に多くの時間を割いている間も、アメリカでは研究や教育が行われているのです。外注という、ベストからほど遠いが理にかなっている部分もあるやり方に口を出す暇があったら、文科省は無駄が多い入試制度にメスを入れるべきだと思います。9月入学とか言う前に(って、これは教育再生会議ですが)、やるべきことがあるだろうと。

さて、この件に関して、「大学プロデューサーズ・ノート(7/5)」さんが良いことを書いています。結論としては、

正直言って、研究力と教育力を世界水準まで向上させつつ、学内の物事を決めるを週に何時間もこなしつつ、その上、年に何度もある試験のための問題を作成していくというのは、かなりのスーパーマンでも難しいんじゃないかな、なんてマイスターは思うのです。世界水準の研究力、教育力とよく言われますが、世界の大学では、教員はこんなに会議や書類作成に追われていないと思いますし。

ということで、もっともなご意見です。その他、本題から少々ズレますが、常々思っていたこととして非常に共感したポイントに以下のことがあります。

大学というのは不思議なところで、教員、職員、学生と多様な面々がいるのにもかかわらず、ほとんどの決め事は基本的に教員が自ら話し合い、決めることになっています。大学の方針を決める重要な会議ならいいのですが、「別に教授じゃなくても決められるのでは」という、けっこう些末なことに関しても、なぜか教員の会議で決める習慣になっていたりします。

良く言えば「教授会による大学自治」という伝統なのでしょうが、ものすご〜く無駄があるとオレは思っています。この話題はまたいずれ機会があったら…。