ビールの凋落

以前,飲み会やらコンパやらの「最初の一杯」といえば「ビール」が当たり前でした。ところが,最近の学生は,そうでもないようです。うちは女子が多いので参考になりませんが,男子中心の学部の先生に聞くと,男子学生でも最近はカクテルから始めるパターンが普通になっているらしい。

で、このニュース。

ビール出荷3年ぶりマイナス 「第3」は好調(asahi.com)

 ビール各社が10日発表した1〜3月のビール系飲料(発泡酒第3のビールを含む)の課税ベースでの出荷量は、前年同期比2.6%減の9468万ケース(1ケースは大瓶20本換算)。値上げに伴う混乱もあり、1〜3月としては3年ぶりに前年を下回った。

(中略)

 内訳は、ビールが前年同期比4.9%減、発泡酒は同4.5%減となったのに対し、最も安価な第3のビールは同5.8%伸びた。消費者の安値志向が浮き彫りになった。

こういうのも,さもありなんという感じです。スーパーでもビール売り場はどんどん縮小し,発泡酒やら第3のビールがのさばっている始末。この状況にぼくは常々たいそう苦々しく思っていました。まさに「悪貨,良貨を駆逐する」です。

はっきり言って,ビール会社が自分で自分の首を絞めているようにしか見えない。本当においしいお酒とは何なのか,良いビールとは何なのか,そういう問題提起をすっとばしてマーケティングだけで商品を売るから,発泡酒や第3の酒ばかりが売れ,消費者の舌が衰え,ビールがますます衰退するわけです。もう多くの人にとってビール/発泡酒/第3の酒なんて,「しゅわっとするちょっとさっぱり系のお酒」にすぎなくなっているんじゃないでしょうかね。だったらカクテルだって同じじゃないか。最近の若者の意識ってこんな感じなんじゃないでしょうか。

以前,若者が車離れしているのは車の経済性ばかりをマーケティングしてきたメーカーの自業自得なのではないかという素人意見を以前書きましたが,今のビール業界も似た感じなのではないかと思ってしまいます。

日本は自由競争社会ですから,マーケティングは大切ですが,マーケティングに偏って職人魂を失った物造りばかりではその行く末は創り手にとっても不毛の地なのではないかと余計な心配をしてしまいます。