2001年宇宙の旅 (1968) ★★★★

キューブリックの超有名作を今更買って観てみた。子供の頃観たけど全然覚えてなくて新鮮に観ることができた。

前半はだるい。40年前のものとは信じがたいSFXの完成度だが,前半は「新しい撮影技術のお披露目」に留まるシーンが多くて,気分は「はいはいワロスワロス」という感じ。しかし急展開する後半は息つく暇もなくただただ圧倒されるのみ。ハリウッド巨額資本で良くこんな(比喩ではなく文字通りの)前衛映画が作れたな。ものすごいお金と時間をかけてこんな作品を作ってしまうキューブリックの神経の太さに驚いてしまう。凡人なら「コケたらどう責任とろう…」と考えてしまって小便ちびって夜も眠れないだろう。

ただ,「ものすごい映画」なのは否定しようもないところだけど,「惑星ソラリス」の繊細さを考えるとちょっと大味で乱暴な感じがして,個人レベルで「大好きな映画」になるかどうかは微妙。しかし上述したようにCGなしの宇宙と宇宙船のSFXはまるで隙がなくて,この後のすべてのSF映画は,映像表現としてはこの化け物映画の手の中で飛び回る孫悟空みたいなもんだなと思わせるに十分。

もう一つ,デイヴィッド・リンチの「ジ・アザーワールド感」との共通点を少なからず感じられたのも興味深かった。最後の「ホテルルーム」のシークエンスとか。