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カタカナ英語についての補足…「mail」は「メール」なのに「main」は「メイン」??

前回のカタカナ英語についてのエントリについてはいつもより多くの反応をいただいてありがとうございました。で、皆さんの反応も大変興味深かったです。で、以下にいただいたコメントに水を差すような補足をしたいと思います。

まず、ぼくは発音重視とか、原音を大切にとか、実は思っていないんですよね。そうじゃなくて、英語の発音の「無理のない日本語的解釈」の範囲内で、より良い選択肢があるのに、よりヒドい選択肢が選ばれて定着するのはなんでだろうと不思議に思うということです。「dairy」を「デーリー」と表記するのと「ダイアリー」と表記するのとでは後者の方がマシでしょう。そう主張するのは原音主義とは違うと思うんです。

さらに、なんでもかんでも原音に近い表記をするのも馬鹿げています。

例えば、mailは「メール」より「メイル」の方が原音に近いのですが、しかし、日本語には「ei」を「e:」、「ou」を「o:」に変換するというかなり強固な音韻規則があるんですよね。ですから、「映画」を「エイガ」と発音する日本人は皆無です。皆さん「エーガ」と発音します。「栄光」を「エイコウ」と発音する日本人はいません。みなさん「エーコー」と発音します。「ハンカチ王子」を「ハンカチオウジ」と発音する人はいません。「ハンカチオージ」と発音します。

ですから、mailを「メイル」と表記する意味はほとんどないと考えます。どうせ「メール」と発音することになるんですから。同様に、「ヴ」という表記もあまり意味があるとは思えません。いくら「ヴァン・ヘイレン」とこだわりをもって表記しても、実際の発音では「バン・ヘーレン」とする日本人が99%です。というか、日本語しゃべっているなかで「バン・ヘーレン」でなく「ヴァン・ヘイレン」という発音をまぜると、うさんくさいFM番組のDJみたいになるのは必至でしょう。ですから、コメントでいただいた特定文化圏における「文化蹂躙云々」ということも全然思わないんですね。音韻規則というのは強固なものなので、直せと言われても無理です。英語、日本語に限らず、外来語を自国語流に変えてしまうのは自然の摂理だと思うのです。

で、ぼくが言いたいのはそういうレベルの問題じゃなく、単に「日本語流の外来語解釈」の範囲内で「よりヒドい表記」が採用されるのはなんでだと言いたいだけなのです。たとえば、「ストレージ」と「ストーレッジ」は、どちらも日本語的な表記です。どちらが「より日本語的」ということはありません。「日本語っぽさ」としては同様です。ならば、英語に相対的に近い「ストーレッジ」を採用すればいいじゃないか。なぜ遠い「ストレージ」が採用されているのか。それが不思議でならないのです。

いっぽう、(しつこくてすみませんが)「メイル」と「メール」だと、日本人は「メイル」と表記しても結局「メール」と発音するんだから、だったら最初から「メール」でいいじゃんということになると思うんです。「メイル」と書くなんて、返って衒学的じゃないかとさえ言えると思います。ですから、実はぼくは以前は「メエル」や「イメエジ」といった変な表記をわざと使っていたこともありました。日本人なんだから「メイル」なんて表記は意味ない、どうせ長母音で発音するんだから。そういう意味で「メエル」、「イメエジ」という馬鹿丸出しの表記をあえて使っていたわけです。てか、そういう嫌みったらしい行為自体が衒学的と言えるかと思いますが。ま、いいんです、ぼくはその程度の人間ですから。

…と、ここまで書いて気づいたことがあります。いや、正確には気づかされたことがあります。それは「メイン」です。コメントで「メインをメーンと書くのは抵抗がある」という意見をいただいたんで、ぼくはまた偉そうに「日本人の音韻規則にはeiをe:に変換する強固な規則があって…」と書こうと思っていたんですが、よーーーーーく考えてみると、「メイン」は「メイン」と発音するわ。「メイン・ディッシュ」は「メーン・ディッシュ」と発音しない。「本日のメインは」を「本日のメーンは」と発音しない。確かにそうです。今回初めて気づきました。

言い訳すると、ぼくは音韻論は専門じゃないので、このトピックに深入りするのは危険なのですが、でも言われみれば、外来語には、「ei」を「ei」のまま発音する語がいくつもあるようですね。少なくともぼくの周りの年代の人は、

  • 「main」は「メイン」であって「メーン」とは言わない
  • 「Kane Kosugi」は「ケイン・コスギ」であって「ケーン・コスギ」とは言わない
  • 「Hanes」は「ヘインズ」と発音し、「ヘーンズ」とは言わない
  • 「セイント聖矢」は「セイントセーヤ」と発音するのであって「セーントセーヤ」ではない(興味深いことに、「セイントセイヤ」でもない。あくまでも「セイントセーヤ」である)

しかし一方で、

  • 「take out」は普通「テークアウト」と発音する
  • 「Mac Shake」は普通「マックシェーク」と発音する
  • Van Halen」は普通「バンヘーレン」と発音する
  • 「training」は普通「トレーニング」と発音する
  • 「rebate」は普通「リベート」と発音する
  • 「date」は「デート」である
  • 「為替レート」はあくまで「カワセレート」であって「カワセレイト」ではない
  • 「レイトショー」はほとんどの人は「レートショー」と発音すると思われる
  • 和語・漢語の「ei」はほぼすべて「e:」である。

微妙なのは…

  • 「Blue Train」は「ブルートレーン」と発音するか、「ブルートレイン」と発音するか?
  • 「rain coat」は「レインコート」と発音すると思うけど、「レーンコート」もあり?(でも「coat」を「コウト」と発音する人はいない)

うーん、古い外来語の「ei」は「e:」に変換済みだけど、比較的最近の「ei」は「ei」のまま残るということなのだろうか。

ちなみに、「ou」は「o:」に変わるというのは依然強固な規則であるようで、そのせいで英語学習者は依然苦労を強いられております。

えーっと、今回は特に結論はありませんが、とりあえず思いついたことを書き留めておきました。