福島 不動湯温泉

青森を後にし、南へ。信州の山荘に戻る予定ですが、一気に戻るのもしんどくつまらないので、途中で温泉宿に一泊するのが最近の常です。前に泊まった岳温泉の宿が気に入っていて今回も泊まれないかと思ったのですが、あいにくの満室。ということで、色々調査したところ、あのあたりでは不動湯温泉というのがどうやら渋いらしいということが分かりましたので、予め電話で予約。インターネット旅行サイトでも予約できますが、電話の方が若干安いのです。

不動湯温泉は土湯温泉郷の「裏手」にあるとでも言うべき一軒宿の温泉で、噂には聞いていましたが、最後の2キロあまりが砂利道で、けっこうな悪路です。信州の山荘周辺も砂利道なんで、砂利道には多少の耐性はあるつもりですが、けっこうデコボコしており、かつアップダウンもあり、白熊も悲鳴を上げておりましたがなんとか到着。ちなみに、ナビが変な道を指示していましたが、ナビを信じないで標識を信じて行ったらちゃんと辿り着けました。

宿は駐車場から下ったところにあるんですが、写真じゃわかりませんが、この宿、山の斜面にへべりつくようにして建っています。ちょうど日帰り入浴の客が帰るところでした(日帰り入浴は15時まで)。良い味出しまくってます。

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今回は本館が満室だったため、本館より2000円も安く二食付き9000円以下で泊まれる旧館への案内。これが笑っちゃうほどの渋さ!

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隣の部屋とは障子一枚で隔てた昔ながらの旅館の部屋ですが、旅館というより湯治場の部屋という雰囲気、あるいは昔懐かしの木造下宿の部屋のようで妙になごみます。しかもヘタにドタドタ歩くと建物が揺れまくて窓ががちゃがちゃ鳴るのも、懐かしいばあちゃんの木造の家という感じであります。ということで、建物を破壊するといけないので自然と忍者のような身のこなしになります。(注:本館はさすがに綺麗です。)

さて何はともあれ風呂だ!ということで、16時過ぎに着いてすぐ浴衣に着替えて風呂場に向かいます。不動湯温泉は温泉マニアに人気があるため、けっこう混んでいるというはなしだったのですが、この時間なら日帰り客もいないのでライバルはそう多くないはず。

浴場は、現在は内湯4つ、うち2つは女性専用、プラス露天1つということになります。

まずロビーから階段を降りたところにあるのは、石・コンクリ系の内風呂2つ、「上の婦人の湯」と「常磐の湯」。こちらは後で夜になってから入ったので、照明が暗くて湯の色などはよくわかりませんでした。単純炭酸鉄泉ということですが、極めてあっさりした湯でありました。

あと2つある内風呂に行くには、さらに階段を降りなければならないのですが、噂通りのすげー階段です。

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写真じゃよくわからないと思いますが、これは急勾配の下り階段です。しかも写真に写っているのは半分だけです。わくわくしますね!

で、階段を降りたところにあるのが、左手に「羽衣の湯」。

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右手に「婦人の湯」。

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どちらも木で出来たたいへん雰囲気のある浴室で、特に婦人の湯は改装したばかりで木の香り漂う超きれいな風呂でした。でも「羽衣」の方も十分きれいで、いい味が出ていました。

公式ウェブサイトによれば、どちらも湯は無色透明の単純泉ということですが、少なくとも「羽衣」の方は少し白濁しているようでした…が、後からわかったのですが、あれは白濁ではなく、多量の湯の華でありました。あまりクセはありませんが、個人的には、上がり湯がいらないぐらいクセがない湯の方が好きなので歓迎です。なにより、木に囲まれているという雰囲気が良いです。

さて、目玉の露天ですが、羽衣の湯の場所から屋外に出て緑の中の階段を降りていかなければなりません。

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降りきると、渓流わきにある小さな露天風呂に辿り着きます。

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ここは大変評判の露天なんですが、入った時はアブがちょう多くて、しかもチクチクと刺そうとしやがるので、温泉をゆっくり楽しむ間もなく退散しました。湯は、こちらは本当に白濁した硫黄泉で、写真撮ったのは雨の後で薄まっているのでそれほどの白濁度ではありませんが、翌朝見たらもっと白くなってました。ぬるい湯なのでゆっくり入りたいところでしたが、アブが憎い!

ちなみに、上記のように写真が撮れたということは、他にお客さんがいなかったということを示しています。つまり、どの温泉も、貸し切り状態で入ることができました。人気温泉に宿泊すると、こういう大きなメリットがあるんだなと、一つ勉強になりました。

食事は、当然華美なものではありませんでしたが、山菜、岩魚、鯉など、山の旅館らしい食事が出ておいしくいただきました。きじ鍋は初めてでしたが、うまい。きじ(の、つくね)自体はクセがありますが、そこからのダシがうまいす。

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ちなみに、上の写真に加えて、もう三品ほどつきました。窓から見えるのは緑のみ、扇風機にあたりながらこういう素朴な料理をいただくと、肩肘張らない感じがとても好ましく、リラックスできるものです。

最後に、旅館のちょうカワイイ犬君です。

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翌朝チェックアウトするときに、女将さんに会えました。とても感じの良い方でした。また、こんな(失礼)ひなびた旅館ですが、クレジットカードが使えます。お客さんからの要望が多いので去年から導入したそうですが、そういうお客さん本位の姿勢にも好感。

今度は本館の方にも泊まってみたいです。