少しタイミングが遅い話題だけれど、Twitterでちょっとコメントしたことの整理。
まず、ここのはてなブックマークのコメント。ようするに、大学教員であるnext49さんが、ご自分の覚え書きとして英語論文の書き方についての本を抜粋するツイートを半日のあいだ挙げていたら、それが平日の午後だったため、「これ見ると午後の時間のほとんどをtwitterに費やしているように見えるんだけど、、、」「きっと休暇をもらっていたのだと信じたい」などと批判めいたコメントがついたという話です。(twitterの方でも同様のツイートあり。)
これについて、next49さん自身が「勤務時間中の自己研鑽のための読書は避けるべき? - 発声練習」というブログエントリを書いて、ご自分の考えを説明されています。たいへん真面目な方なんだなと思う反面、慎重に言葉が選ばれているがゆえに、これでは結局大学教員という職業に対する世間の「誤解」はなかなか解けないのではないかと感じ、言葉選びがあまり慎重ではないぼくがちょっと赤裸々に補足しようかと思った次第です。
そもそも、「大学の先生ってどういう勤務形態なの?」ということです。
next49さんはあまり語っていませんが、ずばり言いましょう。スーパーフレックスです。つまり、基本、いつ出勤していつ帰宅してもいい。
細かい就業規則を言えば、おそらく大学によって違いはあるでしょう。具体例を一つ。
うちの勤務先の場合、就業規則を見ると、「教員」と「職員」ではっきりと分けて記載されています。いわく、「教員の勤務については授業、研修、会議、教務その他を合わせ1週間40時間」と決められています(←「研究」が入ってない!)。しかしですね、何時から何時までという就業・勤務時間についての規定はないんですよ。「職員」の勤務時間は「1年を通じ午前8時45分から午後5時までとし、土曜日は午前8時45分から午後1時までとする」と明記されています。いわゆる普通の9時5時勤務です。しかし「教員」については、規程集を隅から隅まで検索してみましたが、何も見つけることはできませんでした。つまり、「週40時間」であれば、どの時間に勤務してもかまわないというわけです。
だから、平日午後にツイッターしてようが何してようが、他の時間帯に埋め合わせすればいいわけで、批判される筋合いはないわけです。
ただ、国公立は多少違うかと思います。next49さんは「勤務時間中」と何回も書いているので、国公立の方なのかなと思いますが、国公立の場合は教員も、みなし公務員とされるでしょうから、私立大にはない様々な制約が課せられています。ですから、就業規則に勤務時間が明記されているのかもしれません。
しかし、国公立であろうが私立であろうが、大学教員の勤務スタイルは基本的に同じです。国公立の場合はいちおう公務員なので(たぶん)、公務員っぽく体裁を整えるためにそうなっているだけです(たぶん)。あくまで建前。実質は国公立とてスーパーフレックスです。事実、大学でタイムカードを導入しているところは、今でも僅少でしょう。そのかわり、残業代や休日手当は一切でませんよ。業務で休日出勤しなければならない場合、職員には休日手当がでますが、教員には出ません。*1
そのうえ、今は学年歴で言えば春休み。教員は4月に向けて会議やら、入試合否判定やら、いろいろな雑用*2がありますが、講義はなく、学期中ほどの逼迫したスケジュールではありません。
だから、ツイッターしてても大目に見てやってよ、という話です。*3
「いやいやちょっと待てよ、なんだよスーパーフレックスって、真人間ならちゃんと9時5時はシゴトしろよ!」と言う方もいるかもしれません。
しかし、なぜ9時5時に働く者のみが真人間なのでしょうか。まずそこから話を始めなければなりません。「9時5時はシゴトしろよ!」と言うならば、その前提の論拠をあきらかにしていただきたい。
基本的に、「世の常識」を疑うのが研究者の本当の使命ですから(「疑問」を持つことが「真理」探求への唯一の道なのです)、9時5時で働くことが本質的に真人間の必要条件であるならば、ぜひそこをつまびらかにして、そのうえで批判すると説得力が増すと思われます。
てか、そもそも、「真人間」であることはそれほど重要なことなのでしょうか? :-P