ベンジャミン・バトン 数奇な人生 (2008) ★★★★★

監督:デイヴィッド・フィンチャー(「セブン」「ファイト・クラブ」)、主演:ブラッド・ピットケイト・ブランシェット

老人として生まれ、成長とともに若返る特異体質な男の人生とラブストーリー。

フィンチャーの監督作品はすべて観ているが、傑作「ファイト・クラブ」(1999)の後、駄作「パニック・ルーム」(2002)を発表し、その次の「ゾディアック」(2007)もなんとなく不完全燃焼だった。しかしこの映画は素晴らしい。

ツッコミどころは色々あるだろう。「老人赤子」〜「中年少年」にいたる過程はCGが多用されていて、ぎこちない。てゆうかブラッド・ピットの意味があまりないような感じもする。ケイト・ブランシェットとの心のふれ合いも十分に描かれているとは言いがたい。でもいいのだ。老人から赤ん坊へ成長する人間の話なのだから、もともと自然になどなるはずがない。それでも壮年を迎えて「若さ」の絶頂に達した生身のブラッド・ピットの深い悲しみは心に響いた。この悲恋に心をふるわせた。ブランシェットの凛とした美しさも素晴らしい。