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大学入試にエントリーシートを!

ツイッターで教育系の話題が出て、夜中にも関わらず興奮して書き綴ってしまったので、最近ブログ更新していないしここにまとめておきたいと思います。…といっても、ずっと前から主張していることの延長ですが。

事の発端は、@next49さんが、テクニカルライティングを中等教育(高校までの教育)で教えたら良いのではないかというようなことをおっしゃったことです。このご意見自体は、ツイートの文脈的に、@next49さんが強調されていたことでもなく、今回の論点とは直接関係ありません。

ぼくの論点は、いつも通りですが、日本の教育の現状では、「高校で何を教えるか」ということをいくら文科省や中教審が議論したところで、おそらくは無駄だということです。

「高校でXXを教えるべきだ」というのではまったく不十分で、次のステップたる入試でそれが必ず「問われる」というところまで持って行かないと奏効しない。書く技術を中等教育の教育要綱に入れたいなら、それが入試で問われるシステムにしなければ教育の現場で無視されるだけです。

例えば、現場からの声として、@BellMarunouchiさんは「高1ぐらいから、私文にいくから理科や数学イランとかぬかすガキもおる始末。3年になると選択科目ばっかり。入試制度がそうなのだからしゃーないわな」と述べています。これは別に目新しいことではなく、誰でも知っている現状です。

また、比較的知らない人も多いと思われる現状に「大学入学前教育」のことがあります。

これは、「推薦入試」を嫌う、中堅以上の進学高校から聞かれる要望なのですが、いわく…

「推薦が決まった生徒がいると勉強しなくなる。すると他の生徒の受験勉強に悪影響が出る。だから推薦入試は困る。もし大学が推薦で採るなら、推薦の決まった生徒には大学が入学前教育をしてほしい(むろん無料で)」

これは無茶苦茶な論理だと思うのですが、学生が欲しい大学(主に中堅大学)は、へいへいと言う事を聞いて、といっても入学前教育をする人的余裕はないので、予備校に外注して入学前教育を施したりします。これホント!

で、問題にしたいのは、「推薦が決まった生徒は受験の邪魔だから大学でなんとかしてほしい」と言い放てる、その受験至上主義の姿勢であります。これが現実なのです。

しかしここで高校を責めるつもりはありません。生徒も自分の将来のために大学に入るのに必死なのと同様、高校も生き残りのために進学率を上げるのに必死なのです。受験に関係ないことがおざなりになってもしょうがないことです。

それが教育の現場の現実なんです。そこを目をひんむいて直視する必要があります。

だから、中等教育をいじりたいなら、かならず入試制度もセットでいじらなければなりません。

と、普段は使わない太字を使ってみました。

しかし、この認識さえしっかりしていれば、高校教育や大学教育の改革は、難しくありません。現在の高校教育(進学系)では、「入試に関係ないことは極力やらない」わけですが、逆にいえば、「入試に関係あることなら必死でやる」んですから、高校教育で重視して欲しいことがあればそれを入試に入れるような仕組みをつくればいいんです。

例えば、もし「入試に関係ない科目もちゃんと勉強してほしい」というなら、全受験生に対し、高大接続テストとしてセンター試験5教科を必修とすればいいわけです。そして、すべきなのです。

他人を説得することばの力を付けて欲しいならば、就活で言うエントリーシートの入試版を出させて評価対象にすればいいのです。

もちろん、「エントリーシート」というものに抵抗のある大学人もあるかもしれません。そんなものがどれほどのもんじゃい、と。

しかし、それは表層的な言葉の問題です。エントリーシートというものには決まった形はありません。大学入試には大学入試なりのエントリーシートを作ればいいのです。

実際、アメリカの大学では、受験生に自分の背景、そしてその背景を大学に入ってどう生かしたいかということをエッセイ(小論文)として書かせて選抜しますが、その際、「エントリーシート」的に、質問事項や回答欄をあらかじめ用意している大学も多数あります。「エントリーシート」とは呼ばれていませんが、実際は同じようなものです。

今の高校生には自分を見つめる機会がなさすぎます。高校で言語力を鍛えるのも良いが、それ以前に今の高校生・大学生には「人に物を伝えることがいかに大変か」という根本的なことが分かってない。なぜなら、そもそも「人に真剣に自分の考えを伝えなければならない」という機会がないから。大学3年の就活じゃ遅すぎる。大学入試でその機会をつくるべきです。大学入試にエントリーシートを!

文科省の鶴の一声で高大連結試験としてセンター必須にすれば私大の多く(特に中堅以下)は自前のペーパー試験を大幅削減(あるいは廃止)するでしょう。なぜなら、このレベルの大学には、センター試験に加えて自前のペーパー試験を課す意義やメリットはほとんどないからです。

そうすれば、センターとエントリーシートの拡大版のようなものを組み合わせて合否判定する大学も出てくるはずです。

ということで結論です。現状の高校教育、それから大学教育の問題(ひいては就活の問題)を解決するために、以下の対策が有効だと思われます。

  1. センター試験を高大連結試験として、全受験生に必修にする
  2. 高校で広く勉強してもらいたいならセンター5教科を必修にする
    • ただし、大学や学部によって各科目を50〜200点の範囲で傾斜配分することを許す
    • なるべくセンターは年に複数回(春・夏・秋・冬など)開催し、いつでも受けられるようにする
    • センター入試業務は今のような大学教員依存ではなく、独立した機関が独立した専門職員を採用して行うべき
  3. 大学選抜は、センター入試とエントリーシートの組み合わせとする
    • もしやりたければ独自ペーパー入試の実施も妨げない

エントリーシートを読むのは大変でしょうが、今でも大学教員は入試の採点やら監督業務やらで入試シーズンは缶詰状態になっています。もちろん入試問題作成にも膨大な時間をかけています。それらがなくなるのですから、現実的に不可能とは言えないでしょう。また、センター試験の成績で足切りすれば良いという方策もあります。

今の一般的高校生・大学生に決定的に足りないのはモチベーションとビジョン、そしてそれを人に説得的に伝える技術。ペーパー試験だけクリアできればいい、入れるところに行ければいいという入試から、入りたい大学や学部に自分を売り込む入試に転換すべきです。

「大学講義の私語の問題」やら、「文章力の問題」やら、「大学生の幼稚化の問題」やら、「大学教育と就業力の連結」の問題やらも、これでかなりの部分解決するのではないかと思います。大学の専門教育を無理矢理就職に結びつけようと虚しい議論をする前に、学生に自分が何を何のためにやっているのかというビジョンを持たせる訓練を高校生のうちからやるという方向を検討する方がよっぽど有益かつ有効ではないかとぼくは考えています。