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ザ・セル (2000) ★★★★

監督:Tarsem Singh

おもちろかった。アメリカでの評論家の受けは渋いけれども、それもひとえにプロット(「羊達の沈黙」系の猟奇スリラー)がおどろくほど凡庸だから。この映画の魅力はそんなところにはなく、シュールレアリスティックで美しい映像にある。この作品では、監禁されている女性の居場所をさぐるため、昏睡状態の猟奇連続殺人魔の意識の下にもぐりこむのだが(SFですね)、そこは猟奇殺人魔、一筋縄ではいかない世界がくりひろげられているわけで、映画の核となるそのシーンがなかなかに強烈。グリーナウェイキューブリック、そしてダリといったキイワードが頭をよぎる。

監督はコマーシャルや音楽ビデオを今まで撮っていた人で、映画は初めて。名前からするとたぶんインド系だと思うけど、そのせいか映像にインド的極彩色の美意識がみられ、西欧系の監督とは感覚が違う。また、ロンドン・フィルハーモニックによる、現代音楽系の音楽が新鮮で良い。同行した知人は、「凡庸な猟奇殺人vs.FBIのプロットは、ハリウッド商業ベースにのせるための隠れ蓑だろう」と言ったが、ぼくもそう思う。 (08/27/2000)