12人の優しい日本人 (1991) ★★★★

監督:中原俊

陪審員劇。ヘンリー・フォンダ主演の古典「12人の怒れる男」(1957年作品)のオマージュというかパロディー作品。オリジナルの「12人の怒れる男」は、陪審員11人が有罪に投票し、一人が無罪を主張してくいさがるところからはじまるが本作品は11人が無罪に入れ、一人が有罪を主張するところからはじまる。こまかい台詞まわしや、理論派の銀行員が全体の意見の趨勢を左右するところなど、オリジナルに忠実なところでニヤリとさせられるが、一方で、「いかにも日本のオッチャンオバチャン」なキャラが重要な役割を果たすなど、舞台を日本に移した必然性を感じさせる。展開もオリジナルより複雑だし、単なる「古典のパロディー」にとどまらない持ち味を感じた。日本に帰ると日本のテレビドラマの役者や絵のレベルの低さに暗澹たる気持ちにさせられるが、こういう映画をみると安心させられる。 (07/06/2000)