インセプション (2010) ★★★★★

監督:クリストファー・ノーラン(「メメント」「インソムニア」「ダークナイト」)、主演:レオナルド・ディカプリオ渡辺謙

いやあ、感動した。いや、ストーリーに感動したのではなく、映画そのものに感動した。そりゃ160億円(いや、今円高だから130億ぐらいか)という超大作なんだから、ヴィジュアルがすごいのは当たり前と言えば当たり前だけど、いくら金かけても駄目なものは駄目なわけで、その点、この映画は、奇想天外なヴィジュアルを最大限生かすような奇想天外なストーリーで、それでいてスベってないんだから大した演出力だなあ。いや、演出だけじゃなく、クリフトファー・ノーラン本人による脚本も良く出来ていて素晴らしい。

もちろん、プロットに穴はいくらでもある。「設計士」のおねーちゃんの役割がよく分からんとか、最後にディカプリオがワタナービを探しに行くくだりはテキトーすぎるんじゃないかとか、雪山の戦いは大雑把でよく分からんとか。でもいいんですよ、多少大味でも。最初から最後までハラハラ、ワクワク、ドキドキさせてくれて、聴衆をぐいぐい引っ張ってくれるんだから。予算云々より、脚本の力、演出の力というものをひしひし感じた。邦画の派手目の売れ線映画って、脚本がテキトーなのが多くて、「おまえらこんなんで満足だろ」という観客を舐めくさった感じで腹が立つのだが、こういう「マトモな娯楽映画」を観ると、邦画ももっと脚本に金かけるべきなんじゃないかと思ってしまう。

ということで、ハリウッドのソフト的な底力を感じ、いたく感動しました。クリス・ノーラン、あんたはすげーよ! ついでにワタナービも良かった。