「自然の摂理」原理主義者って悪い宗教みたいなもん

最近、気になる記事を見かけたのでメモ。

どちらも出産に関して、「自然の摂理」原理主義者(前者はホメオパシー、後者は自然分娩原理主義の病院)の狂気について触れられています。

こういう「自然の摂理」原理主義者って、自然の摂理を信奉するならするで、あくまで個人で実践する限りはいいんけど、他者を批判するのが「悪い宗教」っぽい。科学の手を借りると「悪魔の毒が身体や心を蝕む」、挙げ句には「世の中が堕落する」と、印象論に過ぎないことをもとにして、不安を煽る言動をするんですよね。

基本的に、「現代医療のせいで生き残るべきでない人々が生き残ってしまっている」(うろおぼえ)というようなことをブログに書いて袋だたきにあった竹原・阿久根市長と同じ思想。要するに、「自然の摂理」が一番偉いのであって、「自然の摂理」の中で生き残れない連中は死ね、その方が世の中が良くなる、という思想ね。

でもこの手の連中がその存在と正当性を信じて疑わない「自然の摂理」って、何なの?

傷を舐めて直せば「自然」で、ヨードチンキつけたら「不自然」なん? 風邪ひいて生姜汁飲んで直せば「自然」で風邪薬飲んだら「不自然」なん? じゃ冷やしたタオルを頭に乗っけるのは「自然の摂理」に従っているの? タオルは人工物だけど、体内に摂取しなければ人工物使うのは許されるの? 採掘した石油を人工的に精製して灯油にしたものを火で燃やして暖をとるのは「自然の摂理」的にはどうなのよ? 化学合成物を材料にした服やら建物やらを利用するのは「自然の摂理」的にはどうなのよ?

結局、人間というのは「自然」を乗り越えるところで生きてきたものであるのは火を見るより明らかで、自分の皮膚ではなく服という人工物で身を守っている唯一の動物であるという点で自然の摂理もクソもないというか、我々そのものが自然の摂理に反しているのでは? そもそも「自然の摂理」というものが存在するならば、という話だけど。

ちなみに、上の記事に、自然分娩主義の産婦人科医が

「今のお産が異常なのは、社会が異常だからだよ。江戸時代ぐらいの社会に戻れば、お産の異常なんかなくなる」

と言い放つのが紹介されていますが、でもさ、江戸時代の平均寿命(ゼロ歳児の平均余命)って40歳行ってなかったんだぜ? そんな時代に戻りたいか?! 戻りたくねーっちゅうの!!!!

以上。