カリフォルニアで車を買う手続き

備忘録。

一般にアメリカでは車の個人売買は非常に簡単で,ぼくがマサチューセッツに住んでいたときも買うときも売るときも個人売買でした。しかしそのときどんな手続きをやったか覚えていません。今回は輪をかけて簡単だった気がしますが,備忘録がわりに書き留めておきたいと思います。

【予備知識】アメリカでは「その車の所有者であることの証明書(「Certificate of Title」通称「Title」または「ピンク・スリップ」)」と「車の登録証」(レジストレーション)は別です。前者は車を購入したら当然更新されますが,後者は所有者が変わっても有効期限があればそのままです。*1 今回は登録証は残り期限がありましたので,登録証はそのまま引き継いで登録の残存期間は引き継いで登録証を更新し*2,ピンクスリップのみをも更新します。

f:id:ultravisitor:20150501180606j:plain

今回買ったアルティマのあるやん(と命名)は個人から買ったのですが,実は売主は中国へ英語教師としてすでに渡っていて,中古車ディーラーをやっている売主の叔父(以降「叔父ディーラー」)が代理で手続き相手になりました。叔父ディーラーは特にマージンも取らなかったので,売主の実在を疑いましたが,個人のウェブサイトもあったし,過去の点検歴に売主の名前もあったし,支払いの小切手も売主宛に作ったので,たぶん本当に代理でやっていたんでしょう。

手続き1:小切手を作る

さて,あるやんを買うことに決めて叔父ディーラーに言われたのは,「10900ドル分のcashier's checkを作ってもってきてくれ」ということ。*3 ちなみに個人売買でcashier's checkだめ,現金のみと言う人もいますが,cashier's checkを拒否する理由が「カタギじゃないから」以外に思いつかない。

あと叔父ディーラーに「スモッグチェック(カリフォルニアの法律で決められている排ガスチェック)をやらないといけないが,隣の工場でもできるけど自分でやる? あるいはオレが代わりにやって料金立て替えておいてやってもいいけど」と言われたので「かわりにやっておいてください」と頼んでおきました。

が! あとでよく調べてみるとスモッグチェックをするのは「売主のほう」だとDMV(車の役所)のウェブサイトに書いてあるじゃあーりませんか。*4 これについては結局σ(゚∀゚ )オレは料金支払いはしませんでした。

手続き2:保険を買う

翌日,cashier's checkを持って叔父ディーラーのもとへ……行くまえに! 大切な手続きがあります。それは,保険に入っておくことです。アメリカでは自賠責と任意保険の区別はなく,とりあえず「保険」に入る必要があります。日本で自賠責払わないと車を登録できないのと同じように,アメリカでも保険に加入した証明書がないとその車を購入することはできません。

ということで,叔父ディーラーのもとへ向かうまえに保険屋に向かいます。悩んだうえで,今回は「アメリカのJAF」である「AAA(トリプルエー)」で保険を買うことにしました。AAAではメンバーになれば(別途年会費要),JAF的なサービスが受けられるのはもちろんのこと,本来DMVでやるべき車の購入の際の諸手続きもすべてAAAでできるそうです。登録の更新もここでできる。できないのは運転免許関係だけ? DMVは常に長蛇の列だと聞いていますので,こりゃめんどくさくなくていいやと。

で,クレアモントのAAAによってさくっと保険を購入。日本のに比べるとだいぶ高いので注意。あと,なんと学歴によって保険料が変わります。また,大学の名前によっても割引があるそうです。ぼくが学位をとったアメリカの大学も割引対象なので,「学位証はないか」と言われて,そんなんわざわざアメリカまで持ってきているわけないやん! しかし幸い,ぼくの大学院がウェブで卒業者の名前を公開していたことと,同窓会MLのメールがあったのでそれで通りました。

あと,保険の契約に車のVINナンバーとオドメーターの走行距離が必要ですので注意。車種,年式は言うまでもなく。

めでたく保険を買ったあと,担当のおばちゃんに「車買ったら持ってきて,オドメーターを確認して,あと車の写真撮るから」と言われました。ちなみに担当のおばちゃんはすごーーく良い人でした。

手続き3:売買の現場

さて,保険をゲットしたら叔父ディーラーのところへ行って売買取引です。

売買の現場でやることはあっけないほど簡単で,お金払ってピンク・スリップにちょこちょこっと書き込んで終わり。

  • 売主はピンク・スリップの表面,下半分2箇所にサインし,オドメーター走行距離を記入。買主は1箇所にサインする
  • ピンクスリップの裏面には買主の名前・住所・免許書番号を書く欄があるので記入する
  • ピンクスリップの上部は「Notice of Transfer and Release of Liability(手放しまっせとDMVに申告する書類)」がミシン目でくっついていますので,そこに売主および買主の両方の名前やら住所を書き入れる。

そしてミシン目にそって切り取って,上部の「Notice of Transfer ...」は売主が受け取り,下部のピンク・スリップ本体は買主が受け取る。それで晴れて買主は車に乗って帰る。あっけない!

登録証ももちろんもらっておく(車に積んでいるはずですが)。*5

手続き4:DMVで手続き

さて,売主との取引はたったこれだけで,ほんの数十分で買った車に乗って帰れますが,DMV相手に手続きは必要です。

  • 売主は5日以内に「Notice of transfer ...」をDMVに届けるかウェブサイトで報告します。売主はこれだけなので本当に簡単。
  • 買主はもうちょっと面倒で,10日以内にDMVに他の書類や手数料,税金などとともに提出します。必要な書類は売主からもらったピンクスリップ,車の登録証(レジストレーション),スモッグテストの証明書,保険です。そのうえで,トランスファーの手数用少々と,消費税(8%)を払います。DMVでやると並びますが,AAAでやるとほとんど並びません。ぼくはその日のうちにやっちゃいました。

登録証はその場で新しいのが買主の名前で再発行されます(しかしなぜか有効期限は更新されない)。ピンクスリップ(所有証明書)については,2, 3週間で郵送で送られてきます。

あれ,なんか長文になっちゃったな。次回はいよいよ,「あれ?この車,いろいろ整備が必要だなあ」編です。

*1:ちなみに「登録証」は毎年更新なので,残り期間があるといってもさしてメリットはありません。

*2:最初間違った情報を書いていました,すみません。「登録の残存期間はそのままで登録証を更新」というのが自分で書いていても意味がよくわかりませんが,そういうふうになっている?ように思います。今回の場合だと,登録証の有効期限が前のオーナーの段階で2014年の12月から2015年の12月までだったのですが,今回ぼくが引き継ぐことによって登録証は新しくなり,ぼくの名前と住所が印字されることになったのですが,有効期限は2014年の12月から2015年の12月のまま。つまり,4月に登録更新したのに12月になったら登録の更新をしなければなりません。なんで?!

*3:cashier's checkは銀行で作る小切手のことで,ふつうの冊子型personal checkと違い,小切手を作ると同時にお金が口座から引き落とされるため,お金を受け取る方としては不渡りの心配がないという小切手です。他に不渡りの心配のない小切手としては,スーパーマーケットのカスタマーサービスなどで作れるmoney orderというものがあります。ただスーパーに10000ドル以上の現金を持って行って小切手にするメリットがほとんどない(だったら売主に現金で払えばいいじゃん)ように思われます。

*4:年式が4年かそれより新しい場合は買主がスモッグをやるそうな。http://dmv.ca.gov/portal/dmv/detail/vr/smog

*5:もうひとつ,「Bill of Sale」という売買の念書みたいなのも作っておくと良いみたいです。が,DMVではふつう要求されないので,あくまで売買のトラブルを避けるためにかわしておくと良いかと思います。σ(゚∀゚ )オレは作りませんでした。ただ,「事故があった車だとわかって買います」という誓約書は書かされました(火暴) それから,ピンクスリップ裏面には買主の「カリフォルニア免許」の番号を書く欄がありますが,ぼくはマサチューセッツの免許しか持っていなかったのでどうしたらいいかと聞いたところ,叔父ディーラーに「自分の免許証番号を書いて,その下にO/Sと書いて」と言われました。ちなみに,仮免の番号でも良いらしい。仮免ももらっていない場合はどうなるのか不明。