トリック 劇場版 (2002) ★★★

director: 堤幸彦
screenwriter: 蒔田光治

トリック -劇場版- 超完全版 [DVD] 「トリック 劇場版」に映画としてどうのこうのということを期待する人はあまりいないでしょう。深夜(というほど遅くもないか)の人気ドラマだった「トリック」は、学芸会スレスレの寒いギャグや演出を、独特のミステリー感と仲間由紀恵の存在感によって芸として昇華した佳作でありました。もともと「本格ドラマ」とは違う次元で楽しむものなのであって、映画にはあまりふさわしくないドラマなのです。

だから、「トリック 劇場版」も、そういう心構えで観るべきものですね。トリック名物の、あきらかに漫画文化に影響を受けた台詞とギャグは、いつものように寒さスレスレのところで笑えるんだけど、まあ、笑いのレベルとしてはいつものトリックと比べて普通レベルかな‥。それより、仲間ちゃんがいつもに増してかわゆし。本当にこの作品は仲間ちゃんの当たり役だねえ。これだけでもこの映画を観る価値あり!

ところが、2時間を超える大作となったこの作品、最後の30分が殺人的につまらない。うーん、けっこう予算かけて頑張ったと思うんだけど、いつもは笑って許せる寒さが、妙なシリアスさによって「本当の寒さ」となって観る者を退屈のどんぞこにつきおとします。なんだかなあ。

そう考えるといらぬ粗探しもしたくなる。たとえば、いつもの「奇術対決→たねあかし」の流れもどうもいまいち煮えきらないというか、テレビ版の出来の良いやつと比べると盛り上がりに欠ける。3人と対決試合のようにして戦うという今回のスタイルはちょっと単調なんだよね。いつもは「敵」をじっくり描いて盛り上げるんだけど。まあ、竹中直人&ベンガル&石橋蓮司という配役はある意味豪華で良かったけど、最高にうさんくさい石橋に絞っても良かったんじゃないかな。

ということで、作品としては「★★」レベルだと思うけど、仲間ちゃんに免じて★★★。最後の30分の展開がせめてそれまでの1時間30分レベルの出来だったら★★★★までつけてた。