iTunes Music Store Japan、曲の値付け

くそっ、Safariが落ちて書きはじめた数行が消えてしまった。Safari、どうも最近のバージョンは良く落ちる気がする。特にフラッシュやJS関係。

気をとりなおして。iTMSが日本で開店してはや1ヶ月余りが経ちました。この1ヶ月でオレが買った曲は、iTMS Japanから159曲、USから85曲、Bleep.comから19曲、計263曲です。ちなみにオレは断然アルバム買いのヒトなので、このうちのほとんどはアルバムです。なんでアルバム派なのかというと、別にアルバムの曲順とかアルバムという単位のなかのコンセプトなどを重視しているわけでなく、まず、アルバム買いの方が1曲あたりの価格が安いから。第二に、1曲だけだとアーティストの個性や持ち味がはっきりとわからないことが多いから。第三に、ライブラリの曲が1万曲を超えているので、1アーティストの1曲を追加してもその他の1万曲の中に埋もれてしまうから。

さて、iTMS Japanが開店してからのオレの個人的音楽生活への影響ですが、想定の範囲内ですが、やはり日本の音楽を聴く機会が増えたということがあげられますね。オレは洋楽人間なのでライブラリの1万1千曲の中で、日本のアーティストの曲は概算で2割前後しかないんですが、この一月は、263曲中111曲が日本のアーティストで、割合からすると4割強、ふだんの割合から倍増しています。

もともと洋楽好きといっても洋楽信仰があるわけでもなく、ただコストパフォーマンスから邦楽を避けていただけですからね。3000円のCDなんて買う気が起こらない。iTMS Japanでは邦楽も含め、多くのアルバムが1500円なんで、それまで秘かに持っていた邦楽に対する興味が一気に開花したという感じです。

さて、iTMS Japanは、開店当初、自称「9割の楽曲が150円、アルバム1500円」と喧伝されていましたが、実際はかなりいろんな値付けが見られることはiTMSJ利用の皆さんならご存じのとおりです。特にJ-Popの売れ筋は200円が付けられている場合が多く、アルバムも2000円やら2400円やら、CD価格に少しでも近付けようとするセコい根性が少ならからずみうけられます。1曲99セント、アルバム9ドル99セントという統一価格を原則的に維持しているiTMS USと比較して、この日本の状況にはなんともいえない煮え切らなさを感じてしまいます。もちろんAppleはそれを良しとしているわけではないでしょうが、頑強に抵抗を続けた日本の業界相手に妥協せざるを得なかったということでしょう。iTMSがアメリカで開始されてから日本で開始されるまで2年以上の月日が必要だったことと考えあわせて、再販制度という時代錯誤なシステムの中で培養されている頑固な日本の業界と交渉しなければならなかったAppleの苦労が容易に想像できます。

で、いったい200円という値付けは売上的にどうなのよ?と思ったので、9/15現在のiTMSJのTop100チャートをもとに、いったいどれぐらいの楽曲が200円で、どれぐらいの楽曲が150円なのか、調べてみました。結果は以下のとおり。

f:id:ultravisitor:20050916012412g:image

自称「9割が150円」が本当だとすれば、200円がTop 100のうち38%を占めるというのは、200円曲もかなり売れていると解釈することができます。多数派はやはり150円ということになっているようです。

ただ、200円の曲の割合は上位ほど高く、Top 50になると46%、Top 10になるとなんと70%を占めます。200円のアーティストは宣伝費がかかっている有名アーティストなので、このあたりはやはり購入者もこのマーケティング戦略に乗っているという構図が浮かびます。逆に、Top 50、100と、150円曲の割合が増えるのですから、Top 100以下はさらに150円曲の割合が増えるのかもしれません。

一方、アルバムになると、2000円以上の値付けがされているアルバムの占有率は200円曲ほど高くありません。以下が、アルバムTop 100の中の値段のばらけ方です(注:「EP」と明記されているもの、オーディブックをのぞく。あと、B'zの343曲入りボックスセットも除いてあります)。

f:id:ultravisitor:20050916013741g:image

これを観ると、2000円以上のアルバムは、全体の18%を占めるにすぎません。

f:id:ultravisitor:20050916014051g:image

この傾向は、チャート上位になっても劇的には変化せず、2000円以上のアルバムはTop 50でも25%を占めるにすぎません。

このことの解釈はいろいろな可能性があるでしょうが、やはりアルバムになると金額が大きいので、そう簡単にマーケティング戦略には乗れないということが大きいのではないかと。単価が2000円以上になると心理的な壁があって購入がためらわれるのでしょう。それが日本人の平均的な金銭感覚では。

ちなみにオレ自身は200曲、2000円アルバムは当然買いません。2000円でダウンロードするならブックオフや復活書房で中古CD買いますよ。あ、もちろん3000円の新品CDなんて買いませんよ、馬鹿馬鹿しいから。