或る夜の出来事 (1934) ★★★★★

フランク・キャプラの名作。この映画を観るのは二回目かな。

ストーリー的にははっきりいってたわいもないラブコメ。世間知らずの富豪の娘と,身分の違う,バイタリティーあふれるスクープ新聞記者のコイバナ。

でも,世の中どんなエンタテイメントでもそうだが,ありきたりの話で観る人をハラハラさせ,笑わせ,ほろりとさせるのが大衆芸術家の真骨頂であり,監督の演出の腕の見せ所であります。

ということで,こういう映画を観ると,ほんと,映画って素晴らしいなあとじーんとする。アホなトレンディードラマに欠けていてこういう素晴らしい作品にあるものは何かというと,いかに,さりげない会話やさりげないイベントで人間の心の機微を伝えられるかというところに尽きるんだと思う。あざとい台詞やわざとらしいイベントじゃない,一見ラブとは関係ないような会話,イベントで観客を笑わせたあと,その笑いがおさまったときに,ふと登場人物のキャラクターに好意をもってしまう,そんな作品だからこそじーんと来るのだ。

役者では主演のクラーク・ゲイブルが最高。男のオレでも惚れそうになったもん。ヒロインは今の目から見るとちょっと古い。

まあ,名作には変わりありませんです。ハイ。