クラウド万歳/SugarSync使ってるけどDropBoxに乗り換えようか

USBメモリ同期の悲哀

研究者あるある。母艦PCとノートPCの間でUSBメモリでファイルやらデータを同期するときありがちなトラブル。

  • 必要なファイルをコピーし忘れ、出先でシゴトできない
  • てゆうか、移動させるファイルを吟味するのが面倒
  • そのうちどのファイルが最新かわからなくなる
  • ノートPCで作業終わったあと、アップデートしたファイルを母艦PCに戻さねばならないが、それを忘れる
  • あるいは戻したかどうか自体を忘れ、USBメモリに入っているファイルを消して良いものなのかどうか分からなくなる
  • 講義に使うため母艦にUSBメモリを刺し、プレゼンファイルをコピーするが、そのUSBメモリを持って行くのを忘れてしまう
  • 間違ったファイルをコピーしていたことを講義開始の瞬間に気付く

もう悲惨なんすよ、USBメモリによる同期って。

クラウド万歳

しかしクラウドはこれらの問題をすべて解決してくれる感涙もののサービスなのであります。ご存知の方も多いかと思いますが、念のため説明しますと、クラウドというのは、インターネット上のサーバのディスクスペースを間借りし、そこを仲介して複数のコンピュータを自動的に同期するというものであります。

要するに、USBメモリなど使わなくてもいいんです。研究室で原稿書きをして、続きを家でやりたいと思っても、何も考えずに帰ればいいんです。家のノートPCを立ち上げれば、先ほどまで研究室で編集していたファイルがあらふしぎ、目の前にあるというわけです。また、講義用のプレゼンファイルを授業前に母艦からノートPCに移動させる手間もない。ちょうらくちんです。

DropBoxではなくSugarSyncを選んだ理由

で、このクラウドの一番人気がDropBoxというサービスなんですが、ぼくはDropBoxはサブにして、(たぶん二番手人気?の)SugarSyncというサービスをメインにしています。具体的には、DropBoxを無料アカウント(2GB)で使い、SugarSyncには年会費49.99ドルを払い、30GBの容量を利用しています。

なぜDropBoxではなくSugarSyncを選んだのか。

それは、DropBoxは、同期するフォルダを自由に選べないからです。つまり、一つのDropBoxフォルダを決めれば、そこに入っているものはなんでも同期してくれるものの、別の場所においてある別のフォルダを同期指定することはできません。たとえば、「原稿フォルダ」の中のAというフォルダと、「講義フォルダ」のなかのXというフォルダを同期指定したいとします。この場合、DropBoxフォルダの中に、AとXを放り込む必要があります。Aは原稿フォルダのなか、Xは講義フォルダのなか、と分けて整理しているんだから、それを崩したくないじゃないですか。しかし、DropBoxでは同期したいフォルダを移動しないといけない。*1

その点、SugarSyncはどこのフォルダでも何個でも同期指定できる。「原稿フォルダ」の中のフォルダAを同期指定し、別の場所にある「講義フォルダ」の中のフォルダXを同期指定するといった芸当が可能。フォルダの階層構造を崩す必要がないというわけです。また、SugarSyncにはDropBoxにおけるDropBoxフォルダに相当するものも用意されていますから、機能上は、SugarSyncはDropBoxより確実に上ということになります。

SugarSyncの弱み、DropBoxの強み

しかしそれでも後発のSugarSyncはなぜDropBoxを凌駕できていないのか。いや、統計的に調べたわけではありませんが、印象として、SugarSyncがDropBoxを抜き去ったという感じがまったくしません。DropBoxはほんと、確固たる支持者層がある。でもSugarSyncマンセーという人はあまり見かけない。で、SugarSyncを半年ほど使ってみて、その理由が少し分かった気がします。というのも、以下のような欠点があるからです。

  1. 複数PCのファイルのどれが最新か、SugarSyncが判断できなくて、同じファイルの複数バージョンが保存されることがしばしばある。これはかなりウザい。
  2. 同期失敗してあるはずのファイルが消失したことが一度あった(母艦には残っていたけど…)
  3. システムメンテの時間がときおり、数時間に渡ってあり、その間同期ができない

どれもかなりのマイナスポイントですが、頻繁に起こるわけではありません。しかし、たまにでも上記のようなケースに遭遇するとかなりガッカリします。

上記のトラブルはDropBoxではありません。メンテでサービスが中断することもない(らしい)。ようするにDropBoxは安定しているのです。

さらに、DropBoxには以下の利点があります。

iPhoneiPadをシゴトで使う人なら分かると思いますが、iPhone/iPadで意外に頭が痛いのが「母艦とのファイルのやりとり」。しかし、近年、DropBoxフォルダからファイルを読み取ってくれるアプリが増えています。これはかなり便利。対して、SugarSync対応のアプリは非常に少ない。

でもDropBoxへの乗り換えも…

これらを考え合わせると、ぼくもDropBoxメインにしようかなあと考えてしまいます。同期のためにディレクトリ構造を崩さなければならないという不便さはあるとはいえ、安定性には代え難いし、iPhone/iPadで活用できるのも大きな魅力です。

しかし!

価格がネックなんですよねえ。SugarSyncは年間49.99ドルで30GB、99.99ドルで60GB、149.99ドルで100GBなのに対し、DropBoxは99ドルで50GB、199ドルで100GB。つまり、DropBoxは最低99ドル払わないといけない。99ドル払うならSugarSyncもDropBoxも似たような容量なので、コスパ的にすごく損という感じはしませんが、1万円近く自腹切るというのがなんか抵抗あるんですよね…しかも毎年払うわけだし。今49.99ドルをSugarSyncに払っていて、これなら、まあ、4000円ちょっとだからいいか、と思うんですが、9000円とかだとちょっと躊躇してしまう。研究費で買えればいいんだけど、こういう納品確認が難しいものは研究費で買うのが非常に困難なんですよね…。

とりあえず現在の結論

ということで、今は、DropBoxの価格体系が改訂されて安くなるか、それともSugarSyncのシステムがDropBox並みに安定するか、どちらが早いか様子見という状態です。

そういえば、最近トレンドマイクロが年間4980円で容量無制限という思い切ったクラウドサービスで殴り込みをかけてきました。レビューを見ると、まだ安定性や速度にかなり問題があるようで、安定性を理由にSugarSyncをやめようか考えているぼくには、ちょっと手を出す気になれないという感じです。ただ、この価格攻勢を受けて、DropBoxの値段が安くならないか(あるいはせめて5000円ぐらいのコースをつくってくれないか)と淡い期待をしています。

なお、AppleのMobileMe(iDisk)は年会費9800円でたった20GBなので問題外。MobileMeには独自のiPhone関係のサービスがついているのは確かですが、それにしたって割高ですよね。.Macとか、iToolsとか、懐かしのeWorldとか、ネットワーク関連のAppleのビジネスは伝統的にどうも今いちパンチに欠ける感じです。

なお、DropBoxやSugarSyncを利用登録してみようという方(SugarSyncは無料で5GB、DropBoxは2GB使えます)で、当エントリが参考になったという方は、以下のリンクから登録していただけると筆者が喜びます。

*1:シンボリックリンクを使う手がありますがそれも完璧ではありません。というのは、母艦でシンボリックリンクを構築しても、そのシンボリックリンクはノートPCの方では再現されないからです。