犬神家の一族 (1976) ★★★★

director: 市川崑
screenwriter: 長田紀生、日高真也、市川崑

犬神家の一族 [DVD] というわけで、化学調味料山盛りの安っぽい中華料理みたいな「人間の証明」を観て気分が悪くなった気分転換に「犬神家」を観ますた。角川映画の第一弾だそうで。「人間の証明」は初見でしたが、この映画は一度か二度観たことあります。が、なにせ昔のことなんでかなり忘れてます。

監督がまともなので、作品もまとも、というごく当たり前の構図。役者を生かすも殺すも演出次第だなあと、「人間の証明」と比べてしみじみ思う次第。石坂浩二、いいね。若いのはもちろん、細いね! で、この金田一耕介、主役の扱いではあるが、物語的には完全に脇役というか道化。もうちょっと物語にからんでほしかった。最後はもちろん金田一が解決するんですが、なんで解決できたのか、その過程がまったくわからん。そのあたりが不満。登場人物的には、この映画の本当の主役はやはり松子、竹子、梅子の犬神三姉妹(高峰三枝子、三条美紀、草笛光子)ですね。特に、一番美人の竹子役の三条がよかった。ヒロインの島田陽子は演技がどうのという感じではないけれども存在感だけで輝いていた。乳もちょっとだけ出していた(出さなくても全然問題ないシーンなのに‥)。あと、出色だったのが、物語にはカラまない完全な脇役の坂口良子。無愛想なのに愛敬がある旅館の女中を演じていて、他の主要登場人物を食うような存在感があった。こういう、脇役が輝く映画というのは世界観に幅がでて良いやね。

ただ映画全体の流れとしては、最初の30分の緊張感・迫力は良いのだけど、その後は正直なかだるみするし、謎解きの場面も長すぎ。効果あるんだかないんだかわからない画面上のギミックも含め、ツッコミどころもたくさんある映画ですが、一世を風靡した猟奇的小道具と死体いじりの独創性と歴史的異義に敬意を表して、四つ★とさせていただきたいと思います。