初フル:第1回神戸マラソン

初のフルマラソンを記念すべき地元のマラソンの第1回で走りました。結論から言えば,感動した。ちょっと泣いてしまいました。

思えばジョギングを始めたのは腰痛対策でしたが,一人でただジョギングしているだけでは壁に当たるのは道理で,当時は6kmぐらい走っていたのですが,キロ6分の壁をどうしても切れない。

そういうことを言ったらネット上の複数の方から「レースに出ればいい」とのアドバイスをいただきました。そして,常々「レースでましょうよ」としつこく誘っていた同僚A(当時ですでにサブフォー達成済)のことばについに折れて初めて10kmレースに出たのが今年4月。

そこで思ったよりずっと速く走れて,しかもレース後のジョギングはレース前より速く走れるということにいたく感心し,またまた同僚Aの甘言に惑わされて,あれよあれよと11月の神戸マラソン(フル),12月の奈良マラソン(フル)にエントリ。

我ながら無謀な感じもしたんですが,試行錯誤しつつ調整。ツイッターでは諸先輩のアドバイスをたくさん受けて,正直,フツーの人がフツーに調整するよりずっと効率よく調整できたんだろうなあと,神戸マラソンの自身の記録と他の同僚たちの記録を比べて改めて実感しました。多謝。

それにしてもフルマラソンの高揚感はすごかった。先月予行演習のつもりでハーフ出たけど,それの比ではなかった。しんどさもハーフの比じゃなかったけど,やはりフルマラソンはすごい。フルマラソンのある大会はたいてい10kmとかハーフとかも併催しているけれども,どんな大会でもフルのエントリはハーフや10kmのエントリの何倍もある。なんでフルのエントリがこんなに多いんだ?しんどいのに?!と思っていたけど,一度体験すると確かにはまるかも。

とりあえず,想像以上にすごい体験でした。以下その記録。

起床


朝は5時半起き。荷物は準備していたものの,バタバタと慌ただしく,納豆卵掛けごはんを食べて6時半に出発。電車の時間までわずか8分だったので,駅まで早速の猛ダッシュ。期せずしてウォーミングアップ。

天気はぎりぎりまで雨予報だったのですが,前日(=大雨だった)になって曇りのち晴れの予報に。実際はほぼ快晴! 最高の天気でした。

現地スタート前


7時に三宮でAを含む同僚ら5人と待ち合わせ。お揃いの,自作の大学Tシャツで記念撮影。一人で心細く会場に向かうのと違い,知り合いと一緒だと軽口も聞けるし,楽しいですね。とはいえ,それぞれ申告タイムが異なるので途中で別れ別れになりましたが。

ちなみに今回の神戸マラソンはうちの大学もプチ協賛をしたので,協賛枠をもらえて,そのおかげで同僚がたくさん出場したという経緯があります。

今回お揃いの自作Tシャツを来た同僚は年齢の低い方から以下のメンツ。

  1. 職員T(20代半ば/ハーフ1h57m/初フル)
  2. 教員A(40代前半/サブフォー)←オレをマラソン道に引き込んだ元凶
  3. 教員N(40代前半/記録?/初フル)
  4. 教員H(40代前半/元駅伝選手/初フル)
  5. オレ(40代前半/ハーフ1h57m/初フル)
  6. 職員A(50代/ハーフ2h10m/初フル)

ということで,6人中5人が初フルマラソン。職場の協賛枠がなければこんなに参加しなかったでしょう。うちの職場からはさらに5人参加した模様。

さて,ブロックは,サブフォーの成績を持つAと元駅伝走っていたHはBブロック,自己申告タイム4h30mのぼくはEブロック,他は協賛枠なので最後尾のほうのJブロック。

ちなみに,走らない方のためにペースを解説しますと,キロ6分で走れば10キロで1時間,40キロで4時間ということになります。ぼくはふだんのジョギングではキロ5分半前後ですので,「単純計算では」40キロ4時間切りは余裕なはずですが,そうは問屋がおろさないのがフルマラソンの恐さであります。

ということで,ブロックに分かれたあとはぼくは一人ぼっち。まずは手荷物預け。

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メガネをどうするか悩んだあげく,手荷物に入れてしまうことにしたので,無メガネで視力に不安を覚えつつ,手荷物トラックに手荷物を預けました。

9時スタートで8時前にはもうスタートに着くと言うのは早すぎるようでいて,気持ちに余裕ができていいですね。ストレッチもゆっくりできるし,トイレも2度行けました。

気温が19度ぐらいまで上がるということで今回は半袖。下はタイツ&短パン。でもちょっと肌寒い。天気は良くて,神戸の街が映えます。参加者は2万人弱?

スタート


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オープニングセレモニーはEブロックまでは全然聞こえないし見えない。もしかしたら号砲も聞こえないのでは?!と思ったけど,さすがにそれは聞こえた。ということで9時ジャストにスタート!

…ですが,Eブロックなので,スタート地点を通過するのはまだまだ。途中,ボランティアのおばちゃんたちが「いってらっしゃーい!」と叫んでいるので,「ここがスタート地点?」と大声で聞いたところ,「スタート地点はもっと先!」と笑われてしまいました(;´Д`)

結局,号砲からちょうど9分後にスタート地点を通過。

スタートから10kmぐらいまで


おおっ,すごい,これがフルマラソンか! 走り始めてすぐ,ハーフとはまったく違う規模,雰囲気,盛り上がりに気分も高揚。しかもいつも見ている街並みのなか,車道を堂々と走るのは今までに経験したことの無い快感。ふだん愛郷心なんてないくせに,「どうや,神戸はええところやろ!」と妙に地元びいきになってしまいます。

その高揚感はずーーーーーっと,10キロ過ぎまで続きます。2号線は広いし,海沿いの道の景色は最高やし,沿道の声援はすごいし(大阪マラソンはもっとすごかったらしいが),鳥肌たちっぱなしというか,マジで感動と快感が交互に襲ってくる感じです。

10キロのネットタイムは56m30s。当社比遅くも速くもない,まずまずのペースです。このあたりはとにかく楽しんで走りました。

途中,折り返してきた先頭集団とすれ違います。思わず「はええ!」と叫んでしまいました。しばらくして,Bブロックスタートの同僚Aをかろうじて見つけて(というか見つけてもらって)挨拶。しかしこんだけ人が多くてみな服装がカラフルだから,すれ違う同僚見つけるのも至難の業やね。よっぽど派手な格好しないと。

20kmぐらいまで


明石海峡大橋で折り返しですが,折り返しと言っても距離はまだ18キロです。まだ余力はあります。ふだんのジョギング経験から,20キロぐらいは,比較的平常心を保てることが分かっているので,想定の範囲内。

折り返すと,こんどは自分より後ろのブロックの人たちとすれ違うようになります。すれ違う集団は,最初の方こそ走っていますが,後ろの方になるとだんだんヒトがまばらになり,歩いているヒトも目立つようになります。そして,しばらくすると今度はパトカー&白バイ。その後に「収容バス」がズモモモモモーとゆっくりと列を成してくるのとすれ違います。

「こわっ」

あの不気味な収容バスに飲み込まれないよう,頑張ろうと決意を新たに。いや,大丈夫だとは思うのですが,いざあの収容バスの行列を見ると背筋が寒くなって…(^^;

さて,中間地点のネットタイムは,2h1m38s。密かに「何か奇跡が起こってサブフォーにならないかしら」と思っていましたが,中間地点で2時間過ぎていたらムリですね。とはいえ,走っているときは,まだかすかに奇跡に期待していました。

ちなみにちょうどその中間点あたりでトイレに行ってしまいました。うーん,スタート前に2回行ったから大丈夫だと思ったんだけど,前日酒飲んだせいか,どうもいかんですね。ただ多少並んでいたものの,都心部ではなかったので,案内のおっちゃんが「男性の小なら向こうの林のほうでやっていいよ」と言ってくれたので(下の話ですみません)ロスタイムが少なくて助かった。

30kmまで


その後は,「鬼門」の20km〜30kmの間。この区間で必ず何かの身体的あるいは精神的異変が起こることはふだんのジョギングで分かっていました。ですから,

 「この区間をなんとか平常心で,キロ6分ぐらいで走れたら,残りはボロボロでもかまわない」

と考えていました。ふだんの練習では30km超えては走ったこと無いので,30km超えて何が起こるか分かったもんじゃない。でも,それでいいんだ,とにかく30kmまでまともな記録だったら,あとはめちゃくちゃでも最悪でも5時間は切れるだろう。そう思っていました。

すると,プチ奇跡が! なんと30kmの通過時間が

 2h54m58s

だったのです。

当社比スゴい!! ふだんの練習で20km2hを切るのはわりと容易ですが,30kmで3hを切れたことは一度たりともありません。しかし,今回初めて3h切れた。しかも5分も?!

テンション上がりましたねえ,走りながら。

 「残り12キロをキロ5分半で走ればサブフォー行けるんちゃうか?!」

とムリ目の夢を見て色めきました。

40kmまで


が,色めいたのも最初だけ。

30キロを過ぎたら「未知の領域」。当たり前ですがペースが落ち始めました。Runkeeperのキロあたりのラップをあとで見ると,30キロを過ぎてからは一度たりともキロ6分を切れていません。それでも当社比頑張った方ではありますが。

てか,このへんになると,まわりは(もちろん自分含め),端から見たら皆「小走り」ですね。その「小走り」の中にも「速い小走り」と「遅い小走り」があって,その差は小さいようで果てしなく大きい。そして「遅い小走り」と「歩き」の差はそれよりさらに大きい。歩かないように,そしてなるべく「速い小走り」になるように頑張ろうと思うんですが,どうしても足が,関節が,「錆びついたポンコツ・ロボット」のようになって動かない。

だんだん訳が分からなくなってくる中でも,ひっきりなしに「頑張れー!」との応援が来ます。

このへんからおかしくなってきたんですね,頭が。

この,何時間も走るという特異な状況の中,脳内生化学物質の調整が変になってきた。そのうえ,3時間以上に渡ってずーっと「頑張れー!」と応援され続けてきたわけですから,なんだか申し訳ないような気持ちにもなって,その有り難さに目頭が熱くなってきました。いや,比喩じゃなくて本当に目頭熱くなるんです。

そして35km地点ぐらい?で最初の感動ポイントに直面しました。自動車専用道路の神戸大橋に入る直前のチアリーディングです。ケリー・クラークソンの爆音のロックチューンをバックにチアリーダーたちが派手に,溌剌と,アクロバチックにチアーを決めていました。それを目にした時間はわずか十数秒でしょうが,突如ものすごく高揚感が湧き上がり、なんと自分でも驚きですが,感動で涙ぐんでしまいました。てか,これを読んでいるひともわけがわからないでしょうが,自分でもわけが分かりません。

第二の感動ポイントは,その直後の神戸大橋です。ここは自動車専用道路なので,一般の観客はいないのですが,その代わり,10メートル置きぐらいにボランティアの方たちが立っていて,「頑張って!」と応援するのです。しかも,薄々思っていたのですが,神戸マラソンのボランティアの女性はえらいルックスのレベルが高い。こんな可愛いギャルたちに10メートルおきに声かけされるなんて,なんという有り難いことだ…と思うとまた目頭が熱くなって,涙がこぼれそうになるのです。文字に起こすと馬鹿馬鹿しいですが,マジです。

…とまあ,感動するのはいいんですが,それとは裏腹に,そして予想通りですが,自動車専用道路の大橋というのはしばらく2kmほど登りが続くので,マラソン終盤に身には辛い。すごく辛い。ぼくはこれまでも給水所では大体足を止めて水分補給しましたが,このあたりになると,足を止めるレベルではなく,路肩に座り込んで水飲みました。いちど座り込んで休憩すると,次また走り始めるときに身体が重いのなんの。

40kmから42.195km


しかし,未踏の30km超の区間,確かに足は錆びたロボットのようにゴキゴキだったものの,心配された筋肉・関節・足首などの特別な異変はなく,給水所で足を止める以外は,かろうじて歩かずに走る状態をキープできました。

それにつけても40km過ぎてからのつらいことよ。

 「41km地点」

の立て札を通過してから,

 「あと1km」

の立て札を通過するまでの距離の長さに,走りながら思わず笑ってしまった。「え,なになに,195mってこんなに長いん?! 死ぬわ!!!」と。マラソンの42.195kmの2.195kmってほんと嫌がらせ以外何者でもないね。

ゴール


それはさておき,「ラストスパート」に関して,走りながら計画していたことがありました。

マラソンは精神的な部分もあるので,気持ちが高揚するとスパートできます。たとえば,観客の応援に対して手を振ったり,ハイタッチしたりすると,辛くても不思議なことにその一瞬だけスパートできます。

で,35キロ時点で涙ぐんだときに発見したのですが,感動して涙がぶわっと出てくるような状態になると,エンドルフィンだかドーパミンだかアドレナリンだかがたぶんなんかの神経伝達物質が出てくるのか,突然力が湧いてくることを発見しました。

そこで,ちょうど感情もたかぶっているので,ゴールが見えてきたら,ボランティアの皆さんや神戸の街に対する感謝の気持ちを高揚させて,涙ぐんで,その力でラストスパートしようと思ったのです。

その計画は当たり,最後の200mぐらい?はごぼう抜きできました。といっても端から見たらそんなに言うほど速くはなかったかと思いますが,オレ的には疾走。とはいえオッサンが号泣するのは恥ずかしいので,ちょっとブレーキがかかりましたが,それでもゴール後は泣いてしまいました。

タイムは,ネットタイム(スタート地点通過後のタイム)で4h20m46s。とりあえず満足です。実は,サブフォー持っている同僚Aは絶不調だったらしく,なんとネットタイムで勝っていました。ヘタしたらグロスでも追いつけたかもしれなかったので,「ちっ,もうちょっと頑張れば良かった」と欲目も。まあ,Aとぼくは奈良マラソンも出るので,あまり調子乗ると痛い目に合うのは間違いありません。勝負しようと思わず,謙虚にマイペースで行こうと思います。

今回うちの職場から出た11人のうち,5hを切れたのは4人。その4人に入れたことを有り難く受け止めたいと思います。

その後は,ゴール時間が近かったAと一緒にタクシーで三宮で移動(ポートライナーやバスは超絶的に人が多かったみたいだから)。3000円ぐらい。東急ハンズそばの神戸サウナ(2時間2000円)で汗流して休憩したあと,残りのメンバーと待ち合わせて軽く打ち上げ。8時ごろ帰宅しました。おわり。

摂食記録

前日にアミノバイタル顆粒(アミノ酸3600mg)を一包。当日朝にもう一包。

朝食:卵かけ納豆ご飯(注:卵かけにすると下手するとラン中に戻ってきそうになるのであまり良くないかも…)

スタート前:パワーバー1本(あんまお腹空いてなかったけど,邪魔なので喰った)

レース中:アミノバイタル・ジェル(アミノ酸3000mg)x2本,パワーバー・ジェル(というかペースト)x3本,パワーバー・ジェルブラスト(グミ)5, 6個,塩飴数個

やたら食べ物持っているので同僚にあきれられましたが,時間節約のため給食は一つもとらず,上記のものでまかないました。ジェルブラストはえらい高かった(360円ぐらい?)けど,効果不明。

あと,いよいよ駄目というときのために大福2個持って行きましたが,これは食べなかった。

ちなみに,5時間超のランナーは,給水・給食不足があったようで,これは大会としては大きなマイナスポイントですね。特に給水は死活問題ですから。来年は絶対改善して欲しい。それ以外は素晴らしい大会でした。あ,帰りの足をもうちょっと整備してほしいかな。荷物受け渡しなどはスムースだった。

記録サマリー

Date Name Distance Record Net
2011.11 第1回神戸マラソン フル(初) 4h29m47s 4h20m46s
2011.10 和歌浦ベイマラソン ハーフ(初) 1h58m33s 1h57m23s(自己計測)
2011.4 芦屋国際ファンラン 10km(初) 52m30s 51m27s

さ,次は奈良マラソン。