Fantastic Plastic Machine "There Must Be an Angel (Playing with My Heart)" (1999)

written by D. Stewart, A. Lennox
produced by 田中知之

「オレ心」シリーズその3。このシリーズを始めようと思ったのは実はこの曲に出逢ったのがきっかけでした。5年前の曲(オリジナルはユーリズミックス)ですが、聴いたのは数か月前。もうブッ飛びましたよ。ファンタスティック・プラスティック・マシーン(=田中知之)らしい、ラウンジ・ムード満載のサンバ調ブラジリアン・ハウス・ナンバーで、田中氏のセンスが良いのはいつものことなんですが、この曲がすごいと思うのは、曲が長いところ。9分超なんですが、ものすごい麻薬性をもっています。

ユーリズミックスの元曲自体素晴しい曲なのですが、元曲がゴスペル調だったのに対し、こちらは、まず出だしはボサ・ノーヴァ。Lorraine Bowenのハスキーでセクシーなボーカルが最高。元々良いメロディなので悪いはずがない。でもそれはあくまで前振りなんです。すごいのは後半。4分過ぎで間奏が終わると、ファンタスティック・プラスティック・マシーンらしい、ファットなパーカッションとともに、サビの「Must be talking to an angel, must be talking to an angel, must be talking to an angel(天使と話しているのだわ、天使と話しているのだわ、天使と話しているのに違いないわ)」という言葉が繰り返されるのですが、なんと、このまま延々残り5分間ずっとこの一節がリピートされるのです(一度だけヴァースが戻ってきますが)。「エンジェリック」としか言いようのないLorraine Bowenの声が壊れたレコードのようにただひたすら反復されます。ここは天国か、それとも天国に見せかけた地獄か。これは天使の声か、それとも至福のあまり気がふれた少女のうわごとか。わけのわからない高揚感のまま、ビートが加速してゆきます。

すごすぎ。