第9地区 (2009) ★★★★

監督:ニール・ブロムカンプ、主演:シャールト・コプリー

南アを舞台に、難民エイリアンと現地民のあつれきを描いたブラックコメディーSF。人種問題・民族差別ということを風刺しているのは明らかで、そういう意味でも非常に正統派の、泥臭いSF映画。評判通りおもしろかった。監督が、「政治的になりすぎないように、あくまでエンタテイメントとして撮った」と言っているが、風刺はあくまでスパイスで、基本的には馬鹿アクション映画として徹底している。

この監督はこれが長編初監督らしいが、非常に演出のセンスがあって、あきらかに低予算(といってもアメリカ規模で低予算=30億円)なのに、非常にスリリングなアクションがみられる。メイキングでは撮影は過酷を極めたとあるが、妥協をしないというのは監督の資質のもっとも重要なものの一つであり、丁寧な演出に非常に好感を持った。

ただ、カタルシスを感じさせてくれそうでくれないラストにはちょっと煮え切らなさも感じた。惜しい!

ちなみに監督も主演も南ア出身らしい。製作はピーター・ジャクソン(「ブレインデッド」「ロード・オブ・ザ・リング」)。