ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還 (2003) ★★★

The Lord of the Rings: The Return of the King
director: Peter Jackson
screenwriter: Peter Jackson, Fran Walsh, Philippa Boyens, Stephen Sinclair

ロード・オブ・ザ・リングズ・トリロジーの最終章にして11のオスカーをとった作品。「世界」の構築はよりすごくなっていて、圧倒されるばかり。「映画が成しうる表現の極致とは?」という問いに答えてくれる作品です。金がかかっているばかりではなくて、非常に丁寧につくられている。たとえば、巨大蜘蛛との戦い。「今さら巨大生物と戦われてもなあ‥」というほど映画史上でやりつくされた、いわば映像的なクリシェなわけですが、それでも観ていて息を飲むような緊迫感がある。緊迫感があるというのは非常に良く計算されつくしているということですよね。とにかくこの映画では色々なところで登場人物が「苦労」するんだけど、その「苦労」がとてもリアリスティックに描かれていて、ぐいぐいひきこまれる。もっとも、「苦労」する一方でえらい簡単に色んなことが解決したりするところがあるんですが‥まあ、そういう省略がないとただでさえ長い映画がさらに長くなってしまうけど。

ただ、なんていうか、結局これって戦争映画でしょ? そして、全体のために個を犠牲にすることの美しさを賛美する映画でしょ? 延々続く殺し合いを観ながらどうも醒めていくオレがいた。「指導者たち」は無敵だし。まあ、そんなこと言うのも野暮なんでしょうけどね。戦時の戦意昂揚に最適の映画。