花とアリス (2004) ★★★★

岩井俊二監督、蒼井優鈴木杏主演の、一風変わった思春期の恋愛を描いた作品。

とにかくリアリズムとファンタジーの絶妙なバランスが素晴らしい。特に、よく言われるように、蒼井優の演技が素晴らしい。離婚したお父さんと久々に会ったときの蒼井の二度の「いやらしい」というセリフの微妙なニュアンスの違いは本当にリアリスティックで感心した。もちろん監督の演出能力もただものじゃない。メインの主人公、鈴木杏の無様な必死さにも心打たれた。

この映画唯一の欠点は、監督が少女たちを愛し過ぎていること。プロットに対してはウェットになり過ぎないようにクールにはぐらかす岩井監督だが、女の子たちを追う映像の視線がウェットなので、ちょっと観ていて引いた。