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マイケル・ジャクソン THIS IS IT (2009) ★★★★★

話題のマイケル・ジャクソンの「幻のファイナル?ツアー」のリハーサルをおさめたドキュメンタリー。MJは、リハで抑え気味だとはいえ、(当たり前だけれども)全盛期からすると衰えは隠せない。しかし、リハでもそのスケールが伺い知れるスペクタクルな演出がそれを十分補っている。

しかしこの映画の一番の見所は、MJとスタッフとダンサーとツアーメンバーとの間の「生」のやりとりがふんだんに盛り込まれているところである。MJが亡くなったのは残念なことだが、亡くなったからこそ、我々はここまで舞台裏を観ることができたと言えるかもしれない。また、「ビリー・ジーン」では「観客」たるダンサーたちが大はしゃぎ、そしてそれに乗せられるようにして、MJが本番並みの気合いの入ったダンスを見せてくれるのだけれども、そういった暖かいインタラクションが良かった。

音楽好きとしては、バックのミュージシャンのリハ風景も気になるところだが、特に、話題の金髪ホットチック・ギタリスト、オリアンティのプレイがかなり観ることができたのが良かった。早弾きギタリストとしてはかなり上手い。興味深いと思ったのが、オリアンティのギターソロの見せ場で、MJが「一番高い音で盛り上げて、君の見せ場なんだから」との指示に、オリアンティがなかなかうまく応えられないところ。はっきりいって、ギターソロの見せ場で高い音をチョーキングでがんがん見せつけるなんて、ヘタクソなギタリストのやることだ。オリアンティの身体には「ギターソロを20フレットのチョーキングで終える」などというプレイはそもそもインプットされていないんだと思う。MJとオリアンティの美学のズレがちょっとおもしろかった。

全体としては、若干冗長なところなところもないでもなく、家でDVDで観たら途中で飽きそうだが、映画館の大画面、大音量では最後まで楽しめた。音楽ドキュメンタリーとしては十分高水準だと言えるだろう。