ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地大乱 (1992) ★★★

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地大乱〈デジタル・リマスター版〉 [DVD]

黄飛鴻之二: 男兒當自強
director:ツイ・ハーク
screenwriter:ツイ・ハーク

あらすじ:
西洋の波の揉まれる激動の中国…というか清。西洋と東洋の医師が集まる学会のために上京していた鍼医師であり拳法達人であるウォン・フェイフォン(リー・リンチェイ)は、西洋医学にも精通した孫文という男に出逢う。一方、街には外国人排斥を標榜する極右・暴力的新興宗教「白蓮教」が街を席巻していた。白蓮教に襲撃された英語学校で生き延びた子供達をイギリス領事館にかくまうウォン。しかし白蓮教との対決の一方で、革命家を一掃しようとする朝廷の動きにもまきこまれることになる…。

リビュー:
前作が好きになれなかったんで評判が良い二作目も観る気はなかったんだけど、マイリストからはずす前にぽすれんから自動的に送られてきたので観ました。

西洋人を徹底して悪者として描いていた前作、そのわりに最後には西洋を象徴する写真機で記念撮影をしたり、なんか中途半端やなあと思っていたのですが、それも今作への布石だったのかも。この本作ですが、一転して西洋人は「近代化の象徴」としてどちらかといえば善玉として描かれていて、外国人排斥を実力行使する極右の新興宗教「白蓮教」が悪者として描かれています。この変わり身はなんなんだ!と思っていたら、そうか、本作は孫文がヒーローなんですね。革命の父として現代中国の英雄となっている孫文は、西洋(および日本)と結びついて、革命を通した中国の近代化を目指した人物であるので、孫文をテーマにした本作が親西洋なのも当然の流れなのであります。逆に、外人排斥を強硬する白蓮教が狂った旧体制の象徴として描かれているわけです。

でまあ、前作を考えるとなんて調子の良い変わり身だろうかと思うんだけど、娯楽映画だからしょうがないか。正直、このシリーズのドラマの部分の出来の大雑把さ、そして能天気ともいえる政治性には少々冷めた気持ちになってしまうのは否定できません。

ただ、アクションは前作よりあきらかに良くなっています。ワイヤーアクションなしの「マッハ!!!!!!!!」を観て以来、ワイヤーアクションに対してちょっと冷めてしまう今日このごろですが、本作の二度のクライマックス・バトルのシーンは見事です。特に、白蓮教の首領との空中戦は非常に独創的で、観ていて感心してしまいました。最後の、提督との闘いよりも好きかも。

というわけで、総合的にはまあまあ。