いつも鋭い大学プロデューサーズノートさんですが、「流通する「講義ノート」 73%が購入経験あり?」という記事では、講義ノートビジネスに対して「驚き」、「これは、不正であり、学術の冒涜だとマイスターは思います」としています。先進的な「大学プロデューサーズノート」さん(マイスターさん)にしてはずいぶんとクラシックなコメントだなと思いました。だって、講義ノートビジネスはかなり昔からあったはずですよね。ぼくが大学生だった80年代にも普通にありましたし、70年代にもあったんじゃないですか? ちなみにぼくは買い手としても売り手としても関わったことはありません。
しかし、こういうビジネスも、おそらくいわゆる「偏差値の高い」大学にしかないんじゃないかと思います。基本的に「偏差値の高くない」大学だとギリギリでもなんでも通れば良いという感じの学生も多いので、講義ノートビジネスはあまり繁盛しないんじゃないでしょうかね。それ以前に、どんな大学でも皆友だち同士でノートをコピーしあっているので、講義ノートビジネスが特別に大きな問題だとは思いません。
さて、「ノートコピー対策」ですが、ぼくの場合、ノート丸暗記をしてもとけないような、「ロジック」を問うような応用問題を出すようにしています。さらに、記述で答えさせます。ノートを浅く拾った程度ではすぐにボロがでるような、それでいて理屈が分かっていれば簡単に解ける(そうしないと誰も解けないという悲劇が待っているから!)ような問題にします。これである程度「人のノートで一夜漬け」を排除するようにします*1。さらに、授業はなるべく平易に説明していますが、専門用語はできるだけ使うようにしています、授業でも試験でも。これも「人のノートで一夜漬け」の人を少しでもふるい落とすためです。専門用語をちりばめることで、「ふだんから授業出ていて用語を分かっている人には簡単だが、用語に慣れてない学生にはそもそも意図が汲みにくい問題」をつくれますし。
ただ、授業も試験も受講者の「真ん中ぐらいの能力の人」をターゲットにしているので、「人のノートで一夜漬け」でも、頭の切れる学生ならば軽く試験をクリアしてしまいます。これはもうしょうがないですね。頭が良いのも大切な才能のうちですから、それに奢らずに頭の良さを生かしてこれからも生きて行って欲しいです。
ということで、大学プロデューサーズノートさんが憤るようなことは特に思っていません。
ちなみに、大学プロデューサーズノートさんの最近のエントリのうち、下のものはたいへん共感できる良い内容のものだったので、お勧めです。
*1:ただし、「丸暗記」で答えられるような問題も一問は混ぜるようにしています。こうしないと「授業には真面目に出ているのに応用ができない」学生が軒並み落ちてしまうから…。これによって「ノートコピー組」も救われることが起こりえますが、仕方がありません。