新しく大阪知事になった橋下徹氏ですが、マッチョな右翼的思想など、石原都知事と似た臭いを感じるので、当選を苦々しく思ったりもしていました。さっそくの「国防事案には地方政治は黙って従えばいい」とか、自衛隊表敬訪問とか、石原との会談とか、期待通りの「いかにも」な行動を取っていた橋下知事ですが、石原と違って意外に柔軟なところもあるようで。
「橋下節」修正連発 府庁批判影潜める 初の定例会見
大阪府の橋下徹知事が13日、就任以来、初めての定例記者会見に臨んだ。激烈な府庁批判はすっかり影を潜め、自らの教育論を「机上の空論だった」と後退させ、発言のぶれについても「独裁者じゃない」と語るなど、これまでの発言の軌道修正ぶりが目立つ。知事就任から1週間が過ぎ、強気の「橋下節」にも変化が見えてきた。
■教育論、机上の空論
「現場を見ずに頭で考えていた。自分の教育論は『机上の空論』だったと反省している」
会見の冒頭、橋下知事が反省の弁を述べた。この日、初めて公立学校を視察、その「成果」を強調したのだ。
選挙中から「高校の学区撤廃」「学力別クラス編成」を提唱し、学力上位層の競争力を強化する教育改革に意欲を示してきた。9日には府の独自施策である公立小学校1、2年生の35人学級制について「効果に疑問がある」として府教委に見直しの検討を指示した。
13日に視察した柱本小では、子どもの理解の度合いに応じてクラスを半数ずつ2カ所の教室に分け、少人数で指導する様子を見守った。橋下知事は「40人、50人でも授業は可能と思っていた。現場を見て、少人数で手取り足取り教えることも必要だとわかった」。
その後の会見では、「ただちに持論が変わったわけではない」と語りつつ、「あまりの世間知らずに恥ずかしさを感じました」と反省。府教委などと議論を重ねていく考えを示した。方針変更の可能性についても「独裁者じゃありませんし。結論が妥当ならそういう政策になる」と話した。
http://www.asahi.com/politics/update/0214/OSK200802140001.html
自分を「あまりの世間知らずに恥ずかしさを感じた」とまで自己批判したのには驚きました。知事という権力のある地位に昇ったのにも関わらず、ここまで素直に自分の否を認められるのは勇気あることだと思うし、感心しました。例の安倍の教育再生なんちゃら会議のメンツにもぜひ見習って欲しいところですね。最近の「教育叩き」は現場から乖離した,「シロート著名人・財界人の好き放題言いたい放題」ばかりでしたが、そういう無責任な流れに一定の歯止めがかかると良いですね。
ちなみに上記記事では最後に
橋下知事が初当選した際、戦々恐々だった府幹部は胸をなで下ろす。「表で無理なことをぶち上げても、裏では落とし所を考えてくれている。仕えやすい上司や」
と言う言葉で締められており、記事が「早くも官僚に丸め込まれている橋下」を印象づけようとしているようにも見えますが、その意図とは関係なく、「表で無理なことをぶち上げても、裏では落とし所を考えてくれている」というのはリーダーの資質としては重要なものの一つだと思います。もちろんだからといって「落とし所」ばかり探しているようじゃもちろん駄目だと思いますが。
とりあえず、ちょっと印象が良くなったので、生暖かい目でお手並み拝見と行きたいと思います。