洗濯機は俺にまかせろ (1999) ★★★★

director: 篠原哲雄
screenwriter: 松岡周作

えーと、なんか良かったです。トレンディードラマ的な、恋のシーソーゲームのような話に陥りそうでいて‥いや、ほとんど陥っているのか? でも、主演の筒井道隆富田靖子の間にうまれるケミストリー‥あれ? ケミストリーって日本語で何ていうんだろ。なんというか、いわゆるマジックですか、それには心を打たれました。特に富田靖子が素晴しい。この人を観たのは10年ぶりぐらいでしょうか。でもあんまり変わってないね。枯れてはいるけれど、昔の瑞々しさも残っていて。一番最初のキスシーンにはなんだか感動してしまいましたよ。映画でたくさんのキスシーンを観ていますが、特にハリウッド映画なんかではキスシーンの意味が記号化しちゃってて、無味乾燥だったりする場合が多いわけですけど、この映画の富田靖子の最初の、1秒ぐらいのキスには、複雑な感情の機微と恋愛感情のスパークのようなものがほとばしってましたね。ここだけでなく、この映画は他のいくつかのキスシーンも非常に良いというか、いやまあ、単に富田靖子がかわいいだけのことかもしれませんが。

キスシーンのことしか言ってない気がするので、設定などのことに触れますと、この映画、1999年の映画なのに、なんか70年代みたいな雰囲気ですね。漫画家をめざして上京したものの結局中古電機屋の修理人になっている筒井と、その電機屋の社長の娘で、ディスクジョッキーの仕事にも結婚にも躓いて出戻りしてきた奔放な富田、この二人の微妙な恋愛感情に、筒井の電機修理の先輩で現ダメ人間なタクシー運転手小林薫(=富田が片思い)と、電機屋の向かいのパン屋の店員百瀬綾乃(=筒井を好いている)がからんで‥その先はよくある展開で、洗濯機修理人という設定が目新しいだけかも。

でも、とりあえず、いつも通り大根スレスレながらも存在感で観せてしまう筒井と、ひたすらかわいい富田の二人は良くて、この二人の存在だけで、ありがちすぎるストーリーには目をつぶって★4ツ半(後記:と思ったけどやっぱり★4ツに変更)。他の役者さんも良かったけど、百瀬綾乃だけはスーパー大根で、そこが残念。