Shall We ダンス? (2004) ★★★

Shall We Dance?
director: Peter Chelsom
screenwriter: Audrey Wells

もう一本、機内で観たのがハリウッド版「Shall We ダンス?」。アメリカで日本映画としての興業記録を塗りかえるほどヒットした周防監督の同名映画のリメイクですが、役所広司リチャード・ギア草刈民代→ジェニロペという、ギンギラにハリウッド的な配役だけで、周防版のわびさびやしょぼくれた感じが台無しという感じで、まちがいなく失敗作だろうと思ってました。しかし、うまくアメリカという舞台に合わせて翻案していて、意外に良くてびっくり。ジェニロペは全然だめだけれども、リチャード・ギアの方は意外にもしょぼくて憎めない二枚目半の中年男を好演していて、ストーリーに感情移入することができた。まあ、タキシードに薔薇を持って登場するシーンはゴージャスすぎて枯れた感じが台無しだったけど、なんとなくそれも許せてしまう感じ。てゆうか、あのシーンはけっこうよかったです。ロマンス好きの女性ならきっとシビレるはず。男のオレでもシビレたもん。

あと、このハリウッド版は、役所とダンス・インストラクターの微妙な恋愛感情に焦点を置いたオリジナルと違って、リチャード・ギアとその嫁はん役のスーザン・サランドンの関係に焦点を当てたのも成功の要因だと思う。ハリウッド映画としては役所とインストラクターの草刈民代の「開花するようで開花しないはかない恋心」はsubtleすぎてちょっと描くのが困難だと思うのだけど、それだけに、焦点を夫婦関係に移したのは賢明だったと思う。というわけで、この映画ではジェニロペは実は脇役なんですね。でも、脇役にしてももうちょっと魅力的な人物に描いてほしかった。

ちなみに、竹中直人役のアメリカ版もいて、これもうまく翻案されていたと思う。演じるのはスタンレー・トゥッチで、上の「ターミナル」トム・ハンクスの敵役を演じたヒトですね。竹中の変態性はないけど、共感できるキャラを演じてました。

ということで、けっこう良かったです。