ハッカビーズ (2004) ★★★★

I Heart Huckabees
director: David O. Russell
screenwriter: David O. Russell, Jeff Baena


アメリカに行ったときにDVDを買ってきました。「スリー・キングス」のデイヴィッド・ラッセル監督の新作‥といっても、オレは別に「スリー・キングス」が特に好きでないので、その点はどうでもいいんですが、主演が、「Rushmore」でデビューしたコッポラの甥、ジェイソン・シュワルツマン、その他、リリー・トムリン、ダスティン・ホフマン、ジュード・ロー、ナオミ・ワッツイザベル・ユペール、そしてマーク・ウォルバーグという、「わけわからん豪華さ」なんで惹かれたのであります。

アメリカでの評判は、賛否両論というか、否の方が多かったような印象がありますが、一部で熱狂的に支持されているようで、ボストンのサブカル・エンタテイメント情報誌「Phoenix」や、サブカルCD・DVD・コミック・ショップである「ニューベリー・コミックス」周辺ではすこぶる評判が良いようです。

これが「今いち」と批判される理由は明白です。「わけがわらないコメディ」だからです。長身のスーダン人に三回も偶然遭遇したことに「意味」を見出そうとするジェイソン・シュワルツマンが、「実存主義探偵」のリリー・トムリン&ダスティン・ホフマンに調査を依頼します。その「調査」とは、依頼主の生活を一部始終観察してもらうというケッタイなものだった。「スーダン人との遭遇」の「意味」にこだわるシュワルツマンはしかし、本人は決して認めようとしないが、大手スーパーストア「ハッカビーズ」の開発担当の好青年ビジネスマン、ジュード・ロウに激しくコンプレックスを抱いているのであった。そんななか、シュワルツマンは過激な環境保護主義左翼のマーク・ウォルバーグに引きあわされる‥。

説明していてもわけがわからないですが、実際、この映画は笑えるか笑えないか、あまりに微妙なギャグが満載。でも大笑いという感じじゃないけどぼくは好きですね。

リリー・トムリン「あなた、時間と空間を旅したことある?」

シュワルツマン「時間はあるね、空間はないけど。‥ごめんなさい、質問の意味わからないです」

という、この映画を代表する?くだりがありますが、万事がこんな調子。

しかし、最後の、シュワルツマンが自我が崩壊したジュード・ロウに我が身を重ねるくだり、なんか泣ける。このDVD、今のところ二回観たけど、同じところで涙がでそうになった。淡々と進む映画だけど、実は盛り上げかたがうまいのでは? もっとも、意味不明気味なのは最後まで続くんだけど。

上記したキャスト、全員演技良いんだけど、一番すばらしかったのはマーう・ウォルバーグでした。パラノイア的で融通のまったくきかない男を完璧に演じています。ウォルバーグってこんなに良い役者さんだっけ? ちょっと感心してしまいました。