director: Victor Flemming
screenwriter: Noel Langley, Florence Ryerson, Edgar Allan Woolf
あらすじ:
孤児のドロシー(ジュディー・ガーランド)はカンザスで農場を営む叔父叔母と暮らしていた。ある日、地主のガルチ夫人(マーガレット・ハミルトン)がやってきて、ドロシーの愛犬のトトが自分の猫を虐待するので処分しろと主張。しかも処分の許可書も警察からもらってきたと言う。失意のどんぞこに落ちたドロシーは家出を決意。しかし一方、トルネードが町に近付いてきていた…。
リビュー:
有名すぎる映画なんだけど、意外にちゃんと通して観たことがないという映画は皆さんもあると思います。オレにとって「オズの魔法使い」はそんな作品でした。で、観たんですが。
今まで観た映画でもっとも素晴しい映画の一つですた。
とにかく素晴しい。すべてが素晴しい。何がいいって、やっぱり役者でしょうか。まず主演のジュディー・ガーランド。当時17歳だったガーランドですが、その可憐さもさることながら(ガーランドは可愛さがもう一つだというのが当時からの定説だったらしいのですが、若干ゴリラ顔ですが十分可愛いですよ!)、脚が素晴しい。脚と言っても長いスカートを履いてますから見えるのはヒザより下のみですが、そのカモシカのような脚のステップの軽やかさといったら! まるで重力なんて存在しないかのごとき軽やかさです。
しかし、この映画がすごさは、ドロシーだけでなく、脇をかためる他のキャラの素晴しさにあります。特に案山子のレイ・ボルガーとライオンのバート・ラーが素晴しい。案山子のレイ・ボルガーは人間ばなれしたよろめきステップと憎めない表情で案山子に命を吹きこんでいます。そして臆病なライオンのバート・ラー。案山子のボルガーの素晴しさを食ってしまうほどのキャラの立ち方。歌も最高。おもしろすぎます。
もちろんプロダクションも素晴らしすぎるほど素晴らしい。この映画、70年代ぐらいの映画かと思ったんですが、戦前の映画だと観終わったあと知ってびっくり。戦前でこのレベルとは…そりゃ勝てんわ、アメリカ映画には。もちろん、チープなところもあるけれども、それも含めて愛しい。当時すごい予算がかかってMGMが倒産しそうになったそうですが、お金だけの問題じゃなくて、やはり映画への情熱、工夫、そして閃きを感じさせてくれます。
ちょっと最後の方があまりにあっけなさすぎるという欠点はありますが、とにかくまったく飽きることのない100分。何度観ても飽きない楽しい歌と音楽とダンスステップ。とにかくおすすめ。
ところで、ELOの初期の代表作「El Dorado」のジャケはこの映画から取られてるんですね。知らなんだ。