九大大学院入試、答案用紙をシュレッダーに 採点不能

 九州大学は5日、1日に実施した大学院の入試終了後に、答えが書き込まれた解答用紙を誤ってシュレッダーにかけて廃棄したと発表した。採点不能となったため、受験生14人全員の成績を満点として計算するという。
 同大入試課によると廃棄したのは、大学院医学系学府が実施した保健学専攻医用量子線科学分野の小論文。英語論文を読んだ感想をA4判3枚に記述するテストだった。
(中略)
 入試は専門科目、英語、小論文、面接の4科目で、14人から6人を選ぶ予定だった。同大院では小論文の点数を全員満点としたうえで、残り3科目で合否を判定するという。

http://www.asahi.com/life/update/0905/SEB200709050010.html

こ、これはけっこうキツいですねえ。

オレは、「入試問題で出題ミス」とか報道されるのをみて常々「そんなの報道して晒すほどのことじゃねーだろ、入試問題が公平公正だなんてもともと幻想なんだよ!」と思っていました。いや、今でも思っています。入試問題は大学が学力の高い学生を取りたいという選別のためのものです。問題に不備があったら損をするのは大学であって必ずしも学生ではありません。その意味、入試問題の不備なんて大学側の自己責任なんだからほっとけばいいじゃんと思っています。

でも、上の事件はかなりキツいですね。受験生にしたら「なんじゃそら!」と絶句するしかないでしょう。だいたい、基本的にミスがあった場合「受験者全員を満点として計算」することが平等かといえばもちろんそんなことはなく、英語や専門科目は苦手だが小論文で点数を稼ぎたいという人は小論文で他の人と差をつけられなくなるから損をし、逆に小論文苦手な人は得をするわけです。ちなみに一般の入試の出題ミスの「受験者全員正解扱い」も同じ問題をはらんでいるのですが、出題ミスの場合、たいてい配点が非常に小さいので誤差の範囲と考えられなくもないのでまだいいんですよ。入試に関わっていれば分かりますが、ボーダーラインの合否なんてはっきりいって運ですからね。しかし、小論文丸ごとが「ナイナイ」ということならばさすがに「誤差」とか「運」ではすまされないですよねえ。

といっても大学側のミスなのに「再試験」じゃ、それはそれでなんかおかしいし、「全員満点ということでどうか一つ」というしかないんでしょうね。

これで当該大学を非難したり嘲笑するのは簡単ですが、正直、同業者としては笑えません。明日は我が身。気をつけないと…。