プロ野球、楽天参入決定

別に楽天に特別悪い印象を持ってるわけじゃないし、ライブドアに特別良い印象持ってるわけでもないんだけど、こと今回の件に関しては、楽天に思想を感じないんだよね、全然。最初(社長が兵庫出身で、かつ神戸にサッカーチームを持っているという事情から)神戸を本拠地にすると三木谷が言ったときから、ああ、プロ野球のこと全然考えてないんだなと思った。プロ野球の球団が一定の地域に集中していることの弊害は昔から言われてんのに。

プロ野球はオレが物心ついたとき(いつ?)には、東京に巨人、ヤクルト、日本ハム、埼玉に西武、神奈川に大洋(横浜)、ロッテがあって、大阪に近鉄、南海、兵庫に阪神、阪急があり、12球団のうちなんと10球団もの球団が東京と大阪のまわりに集中していて、非常にイビツな状態だった。しかし80年代終わりに、南海がダイエーになって福岡に移動、地元定着に成功、90年代前半にロッテが神奈川から千葉(まだ関東圏だが、横浜の隣りの川崎から脱出したのは評価できる)に、つい最近日ハムが北海道に移動と、ようやくプロ野球にも地方分散、地域密着の芽がでてきたというのに、すでにオリックスがある神戸なんていう小規模の都市になんで新球団をつくろうという発想を公言するような愚を犯すのか。プロ野球の歴史というものにまったく無知、あるいは鈍感な証拠ですよ。近鉄買収という観点から大阪での新球団を唱えたものの、近鉄買収断念後はすばやく仙台という妥当な案に切りかえたライブドアの方がより分かっている感じがする。

その後も楽天は、思いつきで長野に打診するも、すぐにライブドアを追って「仙台〜東北」案に変更、仙台の市長だか宮城の知事だかに(失礼、失念)、「長野と東北の両方というわけにはいきませんよ」と言われると「長野にすると言ったおぼえはない」などと簡単に前言撤回。てゆうか長野の立場は‥?

仙台〜東北6県を本拠地というのは良いけれども、ご存じのようにそのアイデアはライブドアのパクリ。今まで「神戸→長野」などとデタラメなことを言っておいて、最終的に落ちついたところがライバルのアイデアのパクリって、おいおい、そんないいかげんなことでいいの?って感じ。そのあたりはたぶん仙台市民も分かっているようで、仙台の世論調査ではライブドア支持の声の方が圧倒的に大きかったよね。ライブドアの堀江社長はそのスタンドプレイで散々叩かれているけれども、三木谷社長の風見鶏のような行動に比べたら圧倒的に筋が通ってますよ。もちろん、堀江だってどの程度本気でプロ野球のことを考えているのか、計算だけで動いているんじゃないのか、そのあたり、クセモノだし不透明ではあるけれども、行動を見る限りはある程度ちゃんとした考えを持っているように感じられたし、おもしろそうな提言をして良い意味でも悪い意味でもひっかきまわしてくれそうという期待がもてた。楽天のアイデアにはオリジナルなところはまったくないし、すべてがライブドアに対して後手後手。

大体、三木谷は野球の想い出が「ON」だったり、一時は「監督は華がある人がいい、原タツノリのような」と口ばしるなど、ナンパな巨人ファンぶり(おそらく巨人の有名選手以外、野球選手の名前は知らない)を発揮していた。「楽天介入はライブドア阻止のためのナベツネの陰謀」という根強い陰謀説は、まあ、いくらなんでもそんなことはないだろうとは思うものの、三木谷の、「既存のオーナー会議に対して従順な犬になってくれそう、反逆ののろしなんて絶対上げなさそう」というキャラで楽天が選ばれたのは明らか。まあ、ライブドアの反逆的言動を今のオーナー全員に受け入れろというのは無理だろうけれども、せめて、ちょっとぐらい「いや、今のプロ野球界には荒治療が必要なんだ」と堀江を押すような動きは球界になかったのか。

全然なかったっぽいよね。ダメダコリャ。