シラバス

柿柳さんのとこと、それを読んでのketketさんの雑感を拝見してのオレの雑感。ってわかりにくいな。

別にketketさんは柿柳さんの書いたものに直接コメントしているわけではないので、ネタにするのもなんですが、両者のポイントが全然違うのが気になったので少し思ったことを書きます。ketketさんは「なぜ4月に配られる冊子の原稿がそんなに早いのか」という冊子編纂の都合を書いているのだけれども、柿柳さんは「シラバス」というコンセプトのものを学期の始まる5ヶ月も6ヶ月も前に書かせるのはいかがなものかということを問題にしているのであって、4月に配布される冊子の締切が半年前であることを問題にしているわけではないと思うんですよね。たぶん。

これについてはオレも「いかがなものか」と思っていまして、まあ、オレの勤務校は締切が1月なのでいいんですけど、12月や11月締切というのは、「シラバス」というものの性質を考えるとちょっと問題があるんじゃないかと。てゆうか、そもそも「シラバス」を製本して配ること自体ちょっとおかしい。

欧州のことは知らないんですが、北米においては新学期に製本して配られるのは「講義要綱」です。一方、柿柳さんが言うように、「シラバス」はあくまで個々の教員が授業の初日に配布するものなのです。それも当たり前の話で、アメリカやカナダにおける「シラバス」は「講義日程表」を兼ねており、多くの場合講義の全日程について教科書の何ページから何ページまで進むかが記されているほか、宿題が出される日と提出期限まで書いてあったりするからです。そんな情報、直前にならないと書けない。

たとえば、これ(PDFファイル)はハー大英文科のノンフィクション小説の授業のシラバスで、一ページ目に概要、二ページ目に成績評価の基準についての解説、三〜四ページ目に講義日程が書いてあり、わりに一般的なシラバスだと言えるでしょう。こういうのを教員が授業の初日に配布するわけです。

一方、新学期に全学生に配布される冊子もありまして、それには何が載っているかというと、ここに載っているものが全学科分掲載されてます。観てわかると思いますが、これはあくまで講義要綱であり、各講義について数行の説明があるだけです。教科書が何かさえ書いてない。これならば学期の始まる何ヶ月も前に締切があっても、特に問題はないかと思われます。

しかし、柿柳さんが述べられているとおり、日本ではおかしなことに「シラバス」を学期の始まる何ヶ月もまえに書くように要求される。何ヶ月もまえにそんな細かいことが決まっているはずもなく、勢い、「講義要綱」と大差なくなってくる。じゃなんで「シラバス」なんて名が付いてるんだと。

てゆうか、どこの誰だよ、日本でこのわけのわからん慣習を始めた奴は?