フォーブスの「ベストPC」人気投票

2chスレが立って知ったんだけど(ちなみにこのスレはまったく伸びてない)、フォーブスのウェブサイトの日替わり簡易人気投票で「最高のPCメーカーはどこ?」というのをやっていて、Appleが55%の得票率と、2位のIBMの12%を大きく引きはなしてトップになっております。

まあ、この人気投票は、おあそびの日替わりアンケートにすぎず、シリアスに受けとめられる類いのものではありませんが、しかし、まともな調査をやっても、意外にAppleはトップに立ったりするのではないかという気がしました。それは、iPod人気とか、そういうことももちろんありますが、それよりもですね、数年前までと比べたPC市場の状況の変化が大きいと思うんですよ。

ちょっとまえまではPC市場というのはそれなりに「夢」があったんじゃないかと思うんですよ。IntelAMDがしれつな高クロック争いをし、Windows XPがこれまでとは一味違った洗練を見せ、メモリやハードディスクの値段も安くなって、「夢の高機能マシン」が一般人の手に届くようになった。

しかし、性能的には成熟してしまった今、残されているのは価格競争のみ。MSとIntelは引き続きウハウハなわけですが、PCメーカーはといえば、石もOSも他社製であるだけに独自性を発揮できる余地も少なく、既存の部品を組みあわせてひたすら価格競争力のあるマシンを薄利多売して、企業向けサポートサービスなどで利益を得るしか道しかなくなってしまった。

それを象徴する「事件」が言うまでもなくIBMのPC部門売却だったわけです。アメリカの「もう一つの老舗」であるHPは、あくまでPC部門生き残りにこだわっているようですが、業績ふるわず、CEOのフィオリーナが更迭されるなど雲行きはますますあやしい。日本はともかく、アメリカではマジでDELLの独壇場。しかし、DELLはPCのクリエイティビティーなんて完全に捨てさることによって成功したメーカーですから、「最高のビジネスカンパニー」であるにしても「最高のPCメーカー」というにはちょっと疑問が残るわけですね。

日本はもうちょっと勢力がいろいろ拡散しているものの、PC売上ランキングを観ても、上位を独占しているのは廉価パソコンのeMachinesだったりするわけです。PC事業の利幅の薄さは日本でもまったく同じ状況であり、Sonyの不振などもあって、「いいよもう、クリエイティビティーなんて言ってる場合じゃないよ」という雰囲気が漂ってます。

そんな中、ひたすらマイペエスなAppleという「PCメーカー」はもはや奇跡的な存在とさえ言えますよ。いや、Appleも特に革新的なPCを作っているわけでもないんですよ。もう5年前からずっと同じです。ラインナップは少し増えたものの、あいかわらず少数。モデルチェンジも1年に1度ぐらい。(価格下落をくいとめるために)鬼のように定期的に新機種を投入しまくる日本のPCメーカーを考えると、Appleのゆっくりさは象並みですよ。

でも激変するPCハード業界で「マイペエス」を維持していること自体がすごいんじゃないかと。そう思ったりした今日でありました。おわり。