tsunami、tofu、futon

大災害になってしまったスマトラ津波ですが、英語報道(たとえばhttp://news.yahoo.com/)を見るとご存じのとおりtsunamiという言葉が使われております。アジアの災害ということもあって、衒学的な意味合いでわざわざ「tsunami」という言葉を使っているのかと最初思っていたんですが、その後の報道でもずっと「tsunami」が使われていて、ああ、tsunamiはちゃんと英語の語彙に入りこんでいるんだと合点。たしかに津波を一言で言いあらわす英語というのは存在しないかもしれない。「big wave」だの「tidal wave」といっても今いち重みが足りないか、あるいは、ポジティブな含意があるのであまり合わないのかもしれませんね。ということで「tsunami」が災害をもたらす怒涛の波という意味で英語に居座ったのかもしれません。なぜ他の言語ではなく日本語でなければならなかったのかはよくわかりませんが。てゆうか、英語に津波の意味の単一の語彙項目がないということは、欧米にはあまり津波被害がないのかな?

さて、斯樣に英語化した日本語というのはいろいろあるわけですが、近年根づいた日本語といえば他になにがあるかなあと考えたりしますと、まあ、sushi、sake(発音「サキ」)、karaoke(発音「カラオーキ」)*1なんかは当たりまえに有名ですが、アメリカ暮しを9年近くやった経験から言えば、sushiよりもさらにアメリカ人の生活に根づいているのはtofuかもしれません。ベジタリアンのタンパク質源として欠かせないのはもちろん、ダイエット食としても都市部の一般人にはポピュラーです。サラダに固いtofuをまぶしたりする他、タイ料理なんかでも、肉の他にtofuを選択できるのが普通ですね。ただ、英語のtofuは中国語からの輸入という可能性もあるかも? Websterには日本語が語源だとありますけど‥。

あとは、日本ではあまり知られてないかもしれませんが、futonが英語化してますね(少なくともアメリカでは)。ただ、アメリカでfuton(発音は「フートン」だけど)というのは床に敷くものでなく、フレームの上にしく厚手の敷布団のことで、フレームを二つ折りにするとソファになるという簡易ソファベッドのことを言います。普通のソファやソファベッドよりずっと安価なので、学生に重宝されています。オレも貧乏院生だったので重宝しました。

以上、とりとめないメモでした。御粗末。

*1:語末母音が「イ」の音になるのは、英語では語末には緊張母音 tense vowel しか許されない制約があるから。英語においては緊張母音は必ず二重母音または長母音(単母音+半母音)になります。「e」の長母音(「エー」)は英語では存在しないので、語末の「e」は「イー」になるか「エイ」になるしか選択肢がありません。フランス語由来の語で「e」で終わる単語は(おそらくフランス語は強勢アクセントが語末母音におかれるのが基本だということが原因で)「エイ」が採用されることが多いようですが(たとえば「buffet」が「バフェイ」、「bouquet」が「ブーケイ」と発音される)、日本語由来では「イー」と発音される方が多いようです。