しつこくiPodな話題

まず備忘録として、興味あるリンクをいくつか。

まず、iPod nano発売週のbcnranking。
http://bcnranking.jp/flash/09-00004043.html

アメリカでは伸びが今いちをも言われているiPod nanoですが、日本では爆発的に売れてます。日本人はほんと小型精密機械が好きですね。

次。

iPodの開発(全11話)日経テクノロジー Tech-On!」
http://techon.nikkeibp.co.jp/NE/navi2006/s2/ipod_1.html

翻訳記事だけど、初代iPod開発からiPod mini発売までを追った力作で読みごたえがあります。てゆうか、Appleは極端なほどの秘密主義で知られる会社だけに、こうやって開発秘話が公開されること自体、貴重です。初代iPodがわずか9ヶ月あまりでマーケティング〜開発〜発売までこぎつけたこと、初代iPodがメディアや市場に「なにをいまさら…」的な受けとられ方をしたこと、iTunes Music Store開始の苦労話、iTMS開店とWindows対応にともなってうなぎのぼりにシェアを拡大したことなどが語られています。

特に興味深かったのがiTMS開店の話。日本でiTMS開店が既存の業界の抵抗で大幅に遅れ、CCCDの件もあいまって音楽ファンが音楽業界を非難した(している)のは記憶に新しいところですが、アメリカ版iTMSも相当苦労したようです。

Apple社が立ち向かったハードルは,とてつもなく高かった。(中略)最初はレコード会社に,話すら聞いてもらえなかった。初めてアイデアを口にしたSteve [Jobs] を,レコード会社の重役たちは,けんもほろろに追い返した。彼らが興味を示すのは,相も変わらず強力なDRMの仕組みでしかなかった

ううっ、泣けるね。iPodiTMSが支持を集めるのも、こういう難しい努力をAppleが惜しまなかったということが音楽ファンに直接間接に伝わっているからではないでしょうか。下のような話もあります。(発言はiTunesのDirector of Product MarketingのChris Bellのもの)

例えば,ダウンロードした曲をCDにコピーするとき,同じ曲順でコピーできる回数を制限する。ほとんどのユーザーは,この制約を制約とは感じないだろう。ただし,楽曲を大量に複製する海賊版CDの製造業者には大きな障害になる。「普通の使い方をする限り,ユーザーはこうした制約に近づくことさえない。何かおかしなことをやろうとすると,制限にぶち当たる。正直な人々を正直なままでいさせようって発想だった」

ちょっと話は逸れますが、moraでは携帯プレイヤーへの転送回数は曲によって異なるんですけど、Sony Music Entertainmentの曲はことごとくを携帯プレイヤーへの転送は3回という制限がついています。こういうセコい制限はマジで考え直した方がいいのでは? 知人・血縁にSony関係者がいるのでSonyへの言及はなるべくしないようにしている当ブログですが、ちょっと書かせていただきますと、最近2chでSonyへの風当たりがいつになく強いのは、著作権管理で業界側の論理を最重視していてユーザの利便性を軽視しているという事実が非常に重くのしかかっていると思いますよ。Sony自身がコンテンツホルダだから当たりまえだ、というのは企業の論理であって、ユーザはそんな企業の論理は知ったこっちゃないですよ。知ったこっちゃないどころか、馬鹿にされている感じがする。実際コケにされていると思うね。

Sonyはネットウォークマン発表のたびに「さすがSonyと言われるような云々」とか「ウォークマンというブランドを云々」など、自社のブランド力回復の話ばっかりしてますが、もうちょっと真剣に、白紙に戻ってユーザ体験という視点を持った方が良いのでは…。

さて、下はhotwiredの記事。

「開発担当者が語る『iPod』誕生秘話」
http://hotwired.goo.ne.jp/news/business/story/20040722101.html

興味深かったのは、試作品ができたころからジョブズが毎日のように製品開発に注文を付けるようになったというくだりです。

ジョブズCEOは、好きな曲を聴くのに3回以上ボタン操作をしないといけないことにひどく気分を害していた

という逸話は特におもしろいですね。

いじょ。